アマゾン・ウェブ・サービス・ジャパン(AWSジャパン)は4月17日、デジタル人材の経済効果に関する記者説明会を開催した。AWSの調査で、デジタルスキルを使用する日本の労働者は、年間国内総生産(GDP)に推定164兆3000億円貢献していると報告。一方で国内では高いレベルのデジタルスキルを有する人がまだ少なく、人材の育成がさらなる経済成長につながるという見通しを示した。
AWSの調査は2022年8月に実施。日本を含むアジア太平洋地域の9カ国で、デジタルスキルが個人、組織、経済全体にもたらす経済効果を調査した。クラウドアーキテクチャーやソフトウェア開発などの高度なデジタルスキルを持つ人の割合は、調査国全体の平均が8%だったのに対し、日本は5%にとどまり、9カ国中最下位だった。
高度なデジタル人材がいる国内企業の36%が、10%以上の売り上げ増を実現していたり、ほぼ半数の会社が過去2年間に革新的な新製品をリリースしていたりと、成長とイノベーションの加速の両面で顕著な成果が見られた。
調査によると、国内のデジタル技術に対する学習意欲では、約半数が受講に意欲を示しており、かつてないほど高まっているが、時間や予算の不足などから受講が進んでいない実態が明らかになった。ITの教育投資額は米国の200分の1にとどまっているという。
長崎忠雄 社長
記者説明会では、同社のコンサルティングサポートを利用し、アジャイル開発を学んだ企業の例を紹介。長崎忠雄社長は「エンジニアや開発担当者の意識改革につながったとの声をいただいている」と述べた。
同社では、人材への投資がビジネスの価値創造につながるまで中長期的に顧客に伴走支援をしていくとしている。長崎社長は「IT人材への投資には、企業リーダーのコミットメントが欠かせない。日本のデジタル競争力を高めるために、お客様と一緒に人への投資を加速させたい」と語った。
(堀 茜)