データ活用基盤を手がけるスタートアップのフライウィールは、同社製品を介した企業間データ連携の取り組みを強化する。2023年3月にKDDIグループと資本業務提携を締結しており、KDDIやKDDIの顧客が持つデータを組み合わせて分析することで、物流最適化などのソリューションを構築していく考え。
フライウィールが提供するデータ活用基盤「Conata」は、多数のデータソースに点在するデータを集約し分析可能な形にする「データ基盤」と、集約したデータを分析しビジネス課題の解決につなげるための機能群である「オファリング」をワンストップで提供する製品。データ基盤はデータベースなどの構造化データだけでなくテキストなどの非構造化データにも対応し、取り込んだデータの意味や関連性などを自動的に認識し、AIなどで活用可能な形態に整理する。
横山直人社長(左)と足立洋祐副社長
横山直人社長は「AIをビジネスに導入する場合、従来はデータを収集し活用可能なかたちに整備・変換するのに多大な時間を必要としていた」と指摘する。同社は企業が保有するデータを極力手作業なしで活用可能にする基盤と、マーケティング管理やレコメンデーション、需要予測といった具体的な課題に対応したオファリングを合わせて提供することで、データ活用によるビジネスメリットを素早く得られるようにしているのが特徴。
また、プライバシーポリシーやセキュリティレベルの異なるデータを安全に活用できる仕組みも備えており、企業間連携にも応用しやすい。KDDI側からフライウィールに参加した足立洋祐副社長は「KDDIグループが持っているデータをすぐに使えるかたちにできる仕組みと、課題解決の装置を既に持っている点が出資の決め手だった」と説明し、今後は分析対象を個社のデータから複数の企業間へ広げたいとする意向を示した。
(日高 彰)