NTTデータは、防災情報を連携、集約する「D-Resilio連携基盤」の提供を6月末日から開始すると発表した。点在していた災害対応に関する情報を連携基盤に集約することで、災害対応業務の高度化を狙う。顧客からのフィードバックを取り入れてさまざまな企業と共創することで、機能拡張を進めていく方針。
D-Resilio連携基盤は、迅速で的確な対応が必要とされる災害時に、行政や企業に対して効率的な防災情報収集を促し、災害対応の検討、判断を支援するプラットフォーム。災害の予防、事前の対策のフェーズから初動対応、応急対応、復旧復興対応までの場面で有効な情報を一元的に集めることで、行政や企業の情報収集の負荷を減らすことができる。
中村秀之 部長
具体的には、さまざまな企業と連携して「災害等公共情報」「気象情報」「避難所情報」「SNS情報」「人流情報」「道路通行実績情報」「衛星画像情報」などのコンテンツを用意する。ベンチャー企業とも連携し、避難所情報については避難所混雑可視化システムを展開するバカンが、SNS情報についてはAI解析技術を用いた危機管理ソリューションを展開するSpecteeが提供する。
集約した情報は、各種サービスやアプリケーションとAPIで連携するほか、地図上に情報を可視化してWeb上で利用できる「D-Resilio Viewer」も用意する。
また個人向けには、「デジタル防災リュック」サービスを提供する予定。スマートフォンやマイナンバーカードを活用し、パーソナル情報や位置情報などを基に、D-Resilio連携基盤の災害リスク情報をパーソナライズされた防災サービスとして受けられる仕組みだ。例えば、居住地域に発令している警報に基づいて、自分が今何をすべきかという情報を把握できるようになる。
まずはコンテンツとして、災害等公共情報や気象情報、避難所情報、人流情報などから提供する。2023年秋をめどに、SNS情報や衛星画像情報の習得も可能になるとした。24年度末までに、同社が運用を受託している災害情報共有システム「L-ALERT」の既存顧客である自治体を中心に、300ユーザーへの導入を目指す。
公共統括本部の中村秀之・社会DX推進室防災・レジリエンス推進担当部長は「まずは(D-Resilio Viewerの)無償トライアルキャンペーンを展開し、無料でみなさんにどんどん使ってもらう。その上でみなさんからの意見を聞き、UIやコンテンツの中身も含め、サービスをアジャイルで変更、改良を重ねる。これによって、現場の対応でしっかり使えるサービスに仕上げていく」と述べた。
(大向琴音)