ピー・シー・エー(PCA)は、2024年3月でパッケージ版の新規販売を終了する。パッケージ版の既存ユーザーや新規顧客に対しては、オンプレミスやIaaSの環境で製品を定額料金で利用できる「PCAサブスク」の提案に切り替える方針だ。
PCAは、主力事業の収益基盤の確立を目指し、ストック型ビジネスモデルへの転換を進めている。パッケージ版の新規販売を終了することによって、この流れを一層加速させたいとの狙いがある。ただ、パッケージ版を購入済みの顧客や商談中の案件があるため、29年3月までサポートを続け、保守については28年3月まで継続する。
「PCAフェス2023」
東京会場のパートナー向けセッション
パートナーには、7月6日~8月8日に全国8都市で開催した自社イベント「PCAフェス2023」で説明した。このうち、8月8日の東京会場でのパートナー向けセッションでは、これまでの約40年間、パッケージの販売を主軸とする中、08年にクラウド版(現在のPCAクラウド)の提供を開始し、20年にPCAサブスクをスタートさせたことを示し、今後の方向性として「クラウド・サブスクベンダーへと転換を図ろうとしている」(事業戦略部プロダクトマーケティングセンターの宇野照夫・センター長)と理解を求めた。
PCAサブスクへの移行を進めるにあたり、アライアンス推進部の成田和弘・部長は、PCAサブスクの価格改定を予定しており、今秋の案内に向けて準備を進めているとした。具体的な金額はまだ決まっていないが、「保守契約の価格になるべく近い価格で提供する」と述べた。
パッケージ版の導入社数は累計24万社に上るが、保守に入っているかどうかで製品のバージョンに差が出ることが課題になっている。PCAサブスクでは、常に最新版が利用できるため、導入を拡大することでこうした課題を解決できるとみている。
PCAのストック型ビジネスの割合は年々高まっており、23年3月期の通期連結決算では、ストック収入が売上高の71.5%を占めた。最近の商談ではPCAクラウドやPCAサブスクが中心になっていることから、将来的に開発や営業のリソースをストック型ビジネスの方向に集約していく可能性があるという。
このほか、周辺サービス「PCA Hubシリーズ」についても説明、24年春の提供に向けて「年末調整」と「労務管理」の二つのサービスを開発していると発表した。その先の計画として、「経費精算」や「電子契約」の領域を視野に入れているとした。
(齋藤秀平)