顔認証ソフト「SAFR（セイファー）」開発の米RealNetworks（リアルネットワークス）の日本法人は、向こう1、2年で国内ビジネスパートナーを現在の2倍に当たる30社程度に増やしていく。顔認証ソフトを組み込んでもらうハードウェアメーカーや、防犯カメラで撮影した映像から対象者を検出するビデオ管理システム開発ベンダー、ユーザー企業先でSIを手がけたり、自社パッケージソフトに組み込んだりするSI・ソフト開発系のビジネスパートナーなどを視野に入れる。

　足元の国内におけるSAFRの活用先は、出退勤管理や保安ゲートの認証用途が多いほか、小売店舗での万引き防止や接客、デジタルサイネージ（電子看板）分野での伸びが期待される。7月には、オフィスビルに設置する保安ゲートの製造などの熊平製作所、公共安全や防犯システム構築を手掛ける国内企業Casley Deep Innovations（キャスレーディープイノベーションズ）がSAFRの活用をスタート。システム開発のネクストウェアやNTTドコモなど既存パートナーを含めて15社ほどがSAFRの国内販売を担っている。


　顔認証を導入することで出退勤管理に伴う認証時間を短縮するとともに、万引き常習犯の顔をリアルタイムで認識して店員に警戒を促す、あるいは顧客管理システムと連動させて来店客のなかからVIP客を素早く見つけ出し特別な対応をする接客用途が拡大している。海外では鉄道駅やカジノなど人が多く集まる場所で、防犯カメラの映像から不審者を自動的に検出するといった用途が伸びている。

　米本社のアジア太平洋地区副社長で日本法人の副社長を兼務する高村徳明氏は「国内の顔認証市場はここ数年平均55％で成長している」と指摘。国内のビジネスパートナーを拡充することで、「市場の伸びを上回る勢いで国内での売り上げを増やしていく」と成長に強い意欲を示す。
（安藤章司）