ブロックチェーンなどWeb3関連技術を強みとするCasley Deep Innovations（キャスレーディープイノベーションズ、CDI）は、顔認証エンジンを応用した雑踏事故の防止や遭難者の発見に役立つシステム開発に力を入れる。リアルネットワークスの顔認証エンジン「SAFR（セイファー）」と、自社グループの画像処理やブロックチェーンの技術を応用した秘密分散ストレージを組み合わせ、個人情報を守りつつ、公共安全や災害対応の領域を軸にビジネスを伸ばす。
 
　顔認証の技術は、オフィスや工場での入退室管理や、店舗での万引き常習犯の検知などでよく使われているが、CDIでは警察や自治体など広く公共の場で使うことを想定。収集した情報は個人情報の保護の観点から、秘密分散ストレージの技術を駆使して、「オンプレミスやオンラインストレージなどさまざまなストレージに断片化して分散保存することで機密性を高める」（砂川和雅・代表取締役）仕組みを取り入れた。

　加えてグループ会社で研究開発型企業のアルシスデータが開発した画像処理技術を使い、撮影した画像を鮮明化することで顔認証の精度を大幅に向上させる。「海や山での遭難者をヘリコプターやドローンに積んだカメラで見つけるときや、大規模災害が発生したときの行方不明者を捜索するときに威力を発揮する」と話す。鮮明化した映像をSAFRで認識させ、秘密分散ストレージ技術で安全、かつ低コストで保存。SAFRの前後に独自技術を入れることで他社との差別化を図っている。

　すでに警察での雑踏事故の防止策で活用実績があり、今後は全国の警察や自治体への展開を積極化させるとともに、画像認識や処理、秘密分散ストレージ技術の応用先の開拓に力を入れる。こうした取り組みによって、向こう3年でグループ全体の売り上げを直近の倍に当たる30億円に伸ばすことを目指す。
（安藤章司）