ニュータニックス・ジャパンは11月9日、記者説明会を開き、同社のハイブリッドクラウド基盤を米Microsoft（マイクロソフト）のパブリッククラウド「Microsoft Azure」上で利用できる「Nutanix Cloud Clusters on Microsoft Azure（NC2 on Azure）」を国内企業向けに提供を開始したと発表した。Azureとオンプレミスの間で、アプリケーションやデータのシンプルかつ一貫した運用が可能になり、国内企業のハイブリッド／マルチクラウド化をさらに支援できるとしている。
（堀 茜）

　NC2 on Azureは、米Nutanix（ニュータニックス）が2022年10月から米国で提供しており、今回Azureの日本リージョンを含むグローバルに提供範囲を拡大した。NC2は同社のハイパーコンバージドインフラ（HCI）である「Nutanix Cloud Platform」と同じ機能をパブリッククラウド上でも利用できるようにするサービスで、必要に応じてアプリケーションをオンプレミスからクラウドに移動するなど、一体的な管理運用が可能になる。シームレスなインフラを構築し、一元的なセキュリティ管理が行える点もメリット。直感的なUIなどニュータニックス製品のユーザー体験はそのままに、Azureのネットワーク、各種サービスとネイティブに連携できるため、パブリッククラウドを利用できる環境を迅速に整えられるとした。


　日本での提供を前に、ニュータニックス・ジャパンは11月からソリューションセミナーを国内各所で実施。無料でトライアルが可能なテストドライブでは、簡単にクラウドにプラットフォームを拡張できる利便性を体験可能だ。

　金古毅社長は、日本でのサービス提供開始の背景について「お客様から、ハイブリッドクラウドがベストな解であるという声が大きくなってきており、エンタープライズだけでなく、パブリックセクターからも問い合わせが増えていた」と説明。「Azureへのシームレスな移行手段をより多くの国内のお客様向けに提供できる」とアピールした。同社のHCIはこれまで、オンプレミスやデータセンター事業者のマネージドサービスで利用されるケースが多かったが、「Azureとのネイティブな連携で、AIも含めて新しい使われ方が広がるのではないか」とビジネス拡大に期待を寄せた。

　ハイブリッド／マルチクラウド化の支援のため、同社はコンサルティングサービスを強化。NC2 on Azureの早期導入支援パッケージを国内で提供する。NC2に特化したセールススペシャリストとソリューションアーキテクトも新たに設置し、顧客満足度の向上を狙う。

　また、9月にニュータニックスと米Cisco Systems（シスコシステムズ）がグローバルで発表した、包括的なハイパーコンバージドソリューション「Cisco Compute Hyperconverged with Nutanix」について、記者説明会では、販売パートナーを加えたコンサルティングサービスを12月から提供開始すると紹介した。シスコとニュータニックスの両社で横断的な販売支援体制の確立・強化を行う。金古社長は、「ソリューションを組み合わせた提案、設計、導入までお客様の一番近くで対応できるのがパートナーの強みになる」と述べ、「通信業や製造業から問い合わせが増えており、12月のサービス開始までにしっかりと準備し採用拡大にアプローチしていきたい」と意気込んだ。