情報サービス産業協会(JISA)は事業説明会を11月30日に開き、▽先端デジタル人材の育成▽生成AIへの産業としての対応▽ガバメントクラウドへの対応―の重点3項目を発表した。今年6月に正副会長の改選があり、福永哲弥(SCSK取締役執行役員副社長)氏が会長に就任してから事業運営の詳細を発表するのは今回が初めて。
福永哲弥 会長
福永会長は「AI技術の飛躍的な進展などによって、個々人の能力が先進的なデジタル技術によって一段と拡張され個人の活躍がより顕著になる時代である」と、個人の能力を生かせる組織づくりの重要性が増すと指摘。その上で2023年度の事業運営方針として「鍛えよう、情報サービス産業。鍛えよう、個と組織」を掲げ、個人の活躍とそれを生かす組織づくりを目指す。
従来は企業の事業ポートフォリオの変更に合わせて技術者に学び直しやスキル転換を求めることが多かったが、これからは「技術者が自分の能力を生かし、スキルを高められる事業ポートフォリオを持つ組織へ移っていく割合が増える」とし、デジタル人材の流動性が高まると福永会長はみる。具体的にはSIerの注力事業の変化に合わせて同業者同士で技術者の転職増や、SIerとユーザー企業との間での人材の流動化が加速すると予測している。
生成AIへの対応では、プログラムの自動生成やテスト工程の自動化に応用できる可能性が非常に高いとし、積極的に取り入れていく方針。生成AIが実用化されれば、「技術者のスキル向上や、顧客と向き合って課題解決をともに進めることにより多くの時間を割り当てられる」(人材委員会を担当する松田信之・JISA参事)ため、ガバメントクラウドなどの国家規模のクラウド移行や、企業ユーザーのDX推進に人的リソースをより投入できるようになるとしている。
(安藤章司)