米Nutanix(ニュータニックス)の事業が好調だ。2月28日(米国時間)に発表した2024年度第2四半期決算(23年11月~24年1月)では、売上高は当初予想を上回る前年同期比16%増の5億6520万ドル(約840億円)となった。今後は他社からの移行ビジネスに注力するとし、2月にはパートナー向けの新たな支援策「Nutanix Surgeプログラム」を発表。VMware環境からの乗り換えを検討するユーザーの取り込みを図る考えだ。
(大向琴音)
アーロン・ホワイト バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャ
同社のビジネスはグローバルの状況と同様に日本市場でも成長を遂げているといい、一つ一つの案件も大型化する傾向にあるという。例えば採用が伸びている公共分野では、これまで地方自治体向けが中心だったが、最近では中央省庁での導入が進んだ。アジア太平洋/日本担当セールス部門を統括するアーロン・ホワイト・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャは「日本は引き続き戦略的に非常に重要な市場であり続けている。この1年間を見ても、日本市場に対して非常に大きな投資をしている」と述べる。
仮想化基盤の市場では、23年に米Broadcom(ブロードコム)による米VMware(ヴイエムウェア)の買収が完了したが、ブロードコムはパートナー経由でのヴイエムウェア製品の販売について、従来のパートナープログラムを終了し、ブロードコムのパートナー制度へ移行する方針を示したとされている。これを受け、ヴイエムウェアの従来のパートナーや、それらの企業からヴイエムウェア製品を購入しているユーザーの間では、今後の製品供給についての不安が広がっている。
この状況を踏まえニュータニックスは、新たなパートナー支援策のSurgeプログラムを発表。プログラムをアナウンスした2月13日(米国時間)のブログ記事では、ヴイエムウェアについて「これまで貢献してきたチャネルを軽視」していると指摘し、混乱に巻き込まれたユーザーやパートナーにとってニュータニックスが有力な移行先になるとアピールする。
Surgeプログラムでは、ニュータニックスに移行しやすくするためのツールやベストプラクティスを用意しているほか、特定の新規顧客への導入に成功したパートナー向けには追加のインセンティブを支払う。ニュータニックスは以前から、他社からの移行に関わる事業を推進してきたが、最近は特に注目が集まっている状況にある。既にアジア太平洋と日本地域のパートナーからはSurgeプログラムに対しての大きな反響を得ているという。ホワイト・バイスプレジデントは、「これまでお客様が使っていたテクノロジーの代替として、当社の製品が安心して使える移行先として見てもらえるようになりつつある」と分析する。ユーザー企業に対しても、技術的なツールに加え、サポートやコンサルティングを提供し、移行を支援する。
また、ニュータニックスはハイパーコンバージドインフラ製品の提供で成長してきたが、現在はパプリッククラウド上でもオンプレミスの基盤と同じ機能を利用可能とすることで、ハイブリッド/マルチクラウド事業にも注力している。ユーザー企業の間では、ハイブリッドクラウド環境への移行ニーズも高まっているといい、パートナーが顧客からの要求に応えられるよう、スキル開発のトレーニングプログラムを提供しているほか、クラウドビジネスを支援する専門の部署も設置しているという。ホワイト・バイスプレジデントは「ハイブリッド/マルチクラウド製品はパートナーにとって収益性が高い。決まった額の利益が毎年見込めるし、マージンも高いなど、メリットがあることをわかっていただけると思う」と語る。