米Concur Technologies(コンカーテクノロジーズ)の日本法人は3月12日、記者会見を開き、2024年1月1日付で新社長に就任した橋本祥生氏は「今年をコンカーの第二章にする」と述べた。23年10月に始まったインボイス制度によって経費精算業務の負担が増加しているとの見方を示し、効率化に向けた取り組みを加速するとした。
橋本社長は「人手不足の状況で、付加価値を生まない経費精算業務の削減は早急に取り組むべき課題だ」と話し、「テクノロジーを活用して経費精算を高度化する」と意気込んだ。具体的には、グローバルで約5万3000社の顧客と9300万ユーザーの利用実績や、30年にわたる事業の中で蓄積したビッグデータ、独SAP(エスエーピー)グループが進める生成AIを掛け合わせる。
橋本祥生 社長
インボイス制度による経費精算業務の変化に関する調査結果も説明した。制度開始後、キャッシュレス決済でも適格請求書の受け取りが必要になったことについて、経費精算者の69.4%、経費管理者の85.4%が「面倒になったと思う」と回答した。
橋本社長は「インボイス制度により経費精算のデジタル化が後退する恐れがある」と指摘。その上で「(消費税法の観点で、旅費に限り適格請求書が未受領であっても仕入税額控除対象にできる)出張旅費等特例の適用範囲を全ての立替経費に拡大し、法人税法と同様にキャッシュレス決済時には適格請求書を不要にするべき」と訴えた。また「デジタル化を推進し生産性を向上するために、要件緩和を目指して関係各所との対話を進める」と話した。
調査は23年12月、従業員100人以上の企業に勤務する経費申請者と、日本CFO協会に所属する経費管理者のそれぞれ500人を対象にオンラインで実施した。
(大畑直悠)