米Oracle(オラクル)は米国時間の5月2日、データベース(DB)製品の最新バージョン「Oracle Database 23ai」のクラウドサービス版の提供を開始した。2022年10月にベータ版がリリースされた「Oracle Database 23c」の機能を拡充した上で名称を変更した。AI領域を中心に強化し、データ活用、アプリケーション開発におけるAI利用を後押しする。
23aiは長期サポートリリース版で、5年間のプレミアサポートなどが受けられるほか、既にサポート契約を結んでいる顧客は無料でアップグレードできる。現状では、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上の「Exadata Database Service」「Exadata Cloud@Customer」「Base Database Service」「Oracle Database@Azure」で稼働し、オンプレミスにも今後対応する。
ジェニー・ツァイ・スミス バイスプレジデント
9日に日本の報道向けに開いたオンライン説明会で、同社のジェニー・ツァイ・スミス・データベース・プロダクト・マネージメント担当バイスプレジデントは「AIによって進化したアプリケーションをどうサポートするか」との観点でバージョンアップを図ったとした。従来版から300を超える新機能が追加されているという。
AI Vector Searchはベクトル化したドキュメントや画像などの非構造化データを対象に、SQLコマンドを使った類似性検索ができる。同じDB上にビジネスで利用している構造化データを格納でき、両者を組み合わせた検索を実現する。例えば、カスタマーサポートの際にDB内の顧客データ(構造化データ)を閲覧しながら、顧客の問い合わせ内容に合わせて、過去の類似事例がまとめられたドキュメント(非構造化データ)を確認することで、より素早い顧客対応につなげられる。
このほか、JSONデータをリレーショナルDB(RDB)上で管理・運用したり、RDBに保存されたデータをJSONデータ形式で参照したりできる仕組みや、グローバル規模で分散格納された物理DB間へのRaftレプリケーションサポートなども導入した。
(藤岡 堯)