レノボ・ジャパンの檜山太郎社長は、週刊BCNの取材に応じ、今後の成長に向けて「ワンレノボを推進し、事業を伸ばしていく」と述べた。国内の事業会社3社の連携を強めながら製品を横断したサービスソリューション事業に注力し、あらゆる製品でのAI活用の拡大を目指す。
檜山太郎社長
檜山社長は「グローバルでIT市場が頭打ちになる中、成長のためには、ワンレノボを進めていかなければならない」と説明。レノボグループが「ポケットからクラウドまで」と表現する幅広い製品ポートフォリオを生かすため、製品事業部の枠組みを超え、製品横断で価値を提供するサービスソリューション事業を中心に収益の拡大を図る方針だ。
さらに、製品や技術をただ届けるのではなく、顧客の課題を聞き取り、解決策を提示する過程でグループ3社が連携し、それを生かしたITソリューションの提供につなげる考えを示す。特にビジネスでの活用が広がると予想されるAIについては「AIは製品の仕切りがなく、まさにワンレノボのでの活動が必要になる」と強調した。
中国Lenovo(レノボ)の国内事業は、PC事業を中心としたレノボ・ジャパン、ITインフラ事業を手掛けるレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(LES)、グループ傘下でスマートフォンなどを展開するモトローラ・モビリティ・ジャパンの3社体制で行っている。
AIに関しては、PCの修理に対応するNECパーソナルコンピュータ群馬事業場の故障診断で活用。熟練のエンジニアが行っていた診断を、8割程度の精度でAIが代替している。この仕組みを製造業の故障予兆診断ソリューションとして提供したり、医療現場での診察に応用したりといった構想があるという。檜山社長は「AIは業種の壁を飛び越えて価値を提供できる可能性が大きい」と期待した。
パートナー戦略では、レノボ・ジャパンとLESの販売支援プログラムを統合した「Lenovo 360」に触れ、「サーバーをメインとするパートナーとPCに強いパートナーのクロスセルを、AIを絡めてどう推進していけるか、パートナーとも協議しながら最適なかたちを目指したい」と述べ、AI活用の推進に向けてパートナーとの協業をより重視する姿勢を示した。
グローバルのIT市場の動向については、SIerが顧客の要望に応じて個別にシステムを構築するシステムインテグレーションから、必要な要素を組み合わせて顧客の課題を解決する「システムオーケストレーション」へのシフトが進んでいると解説。「AIの推進によって、日本でもその傾向が強まる」との見方を示した。(堀 茜)