さくらインターネットは8月27日、メディア向けに説明会を開催し、AI向けGPU基盤の提供を通じて収益を拡大する戦略の詳細を紹介した。本年度(2025年3月期)からは、新たな成長フェーズへの挑戦として、GPUクラウドの強化に注力している。特に、生成AI向けクラウドサービス「高火力」の中で、Dockerイメージの実行に最適化した「高火力 DOK」に関しては、より高性能な新プランを同日発表した。
24年8月1日までに、クラウドインフラの第一次整備として米NVIDIA(エヌビディア)が提供するGPU「H100 Tensor コア GPU」を2000基以上整備した。現在、第二次整備の計画が進行中となっており、27年度までに次世代製品の「B200 Tensor コア GPU」をはじめとしたGPUを8000基以上採用する計画で、第一次整備で採用した約2000基と合わせて総GPU数は1万基となる。
田中邦裕 社長
これにより、総計算能力18.9EFLOPS(エクサフロップス、1EFLOPSで毎秒100京回計算する能力を持つ)を目指す。投資額は約1000億円を予定しているが、第二次整備計画にあたり経済産業省から「クラウドプログラム」の供給確保計画の認定を受けており、最大約500億円の助成を受ける予定となっている。
同日、Dockerコンテナに特化した高火力のクラウドサービス「高火力 DOK」で、「NVIDIA H100プラン」のベータ版の提供を開始した。H100 Tensorコア GPUを採用しており、既存の「NVIDIA V100プラン」に比べて計算速度やGPUメモリーの容量が向上しているという。高火力 DOKは6月に提供を開始しており、顧客が用意したDockerイメージの実行が可能。毎回の環境構築の手間なくGPUを使ったタスク実行ができるため、スポットでの利用に向いているとした。料金体系は秒単位での時間課金制となっている。
また、GPU以外にもクラウドサービスの強化を加速する姿勢で、国内企業初のガバメントクラウド認定によるプレゼンス向上を狙うほか、市場開拓やサービス機能の強化も図る。
田中邦裕社長は、「GPUを並べて提供するだけなら誰でもできる。しかし、それをソフトウェアでスケジューリングし、使いたいときに必要なだけ提供する、いわゆるクラウドとして提供できる会社は極めて少ない。そんな中でわれわれとしては、インフラの投資もするし、ソフトウェア開発の強化もする、二本立てでやっていく」とコメントした。
(大向琴音)