伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、AIエージェント方式を軸にユーザー企業の生成AI活用支援を本格化させると、10月17日に開催した年次イベントで発表した。AIエージェントはユーザーが求める回答を対話によって導き出す仕組みで、「生成AIをより実践的、実用的に使うために欠かせない機能」(藤澤好民・データビジネス企画・推進本部AI・先端技術部長代行)と位置付け、ユーザー企業への導入を積極的に進めていく。
藤澤好民 部長代行
営業担当者が顧客企業に向けた提案書を作成する業務を例に挙げると、AIエージェントを使わない場合、顧客情報や過去の訪問履歴などを検索して回答するのが一般的だった。AIエージェントを使えば、営業担当者が「他社との差別化点」を重点的に提案書に盛り込みたいのか、「過去の失注要因」を重点的に知りたいのかなどをエージェントが聞き取り、より適したデータを探して最適解を導き出す。「ユーザーが本当に知りたいことと生成AIとのギャップを埋めるのに役立つ」と、同部の寺澤豊・部長は話した。
寺澤 豊 部長
CTCではAIエージェントやLLM(大規模言語モデル)関連の技術を持つベンダーとの連携を深める「LLMエコシステム」活動を進めており、海外の主要なオープンソースソフト(OSS)開発ベンダーや、国内のPKSHA Technologyグループなど「複数社とエコシステムを形成し、スピード感をもって最新技術をユーザー企業に届ける」(寺澤部長)体制を構築している。今年2月には米AIスタートアップのLiquid AI(リキッドエーアイ)との協業も発表している。
AIエージェントをテコに生成AIの導入支援ビジネスを加速させ、向こう3年間で50億円の売上高を目標に据えるとともに、最終的にはユーザー企業が自力でAIエージェントを使った業務フローを確立できるまで伴走支援していく。
(安藤章司)