KDDI、アイサンテクノロジー、ティアフォー、KDDIスマートドローン、KDDI総合研究所の5社は12月6日、千葉県君津市で、配送ロボット、自動運転車、ドローンの協調による全自動配送の実証実験を行い、成功した。KDDIなどの調べでは、位置情報のデータ形式が異なる3種類のモビリティーでの配送達成は国内で初めて。2030年の実用化を目指している。
配送ロボット、自動運転車、
ドローンを使った自動配送の実証実験=千葉県君津市
完全自動配送システムは、物流のドライバー不足解消や山間地での配送効率化といった課題解決に貢献できる。地図の点群データ技術でアイサンテクノロジー、自動運転技術でティアフォーが協力している。
位置情報のデータ形式が異なる問題は、独自開発した「協調制御プラットフォーム」でそれぞれのデータを変換することで対応。配送ロボットの稼働範囲と自動運転車の運行区間、ドローンの飛行範囲などを最適化し、運用効率が最大化する配送経路を自動計算する。この基盤によって、建物の内部、都心のビル間、災害時の山間部など幅広い場面で輸送の効率を高められる。
実証実験は閉校となった小中学校校舎を再利用した施設で実施。ロボットが建物内から荷物を運び、自動運転車に積み込んで移動。最後にドローンが山の上を飛んで荷物を運んだ。現在は配送ロボットから自動運転車、自動運転車からドローンへ荷物を移し替える場面に人の手を介在しているが、将来的には荷物をハンドリングするロボットアームなどの開発により、人手を必要としない全自動配送を計画する。
ロボットや自動運転車は都市部、ドローンは山間部への配送を担うと想定。交通空白地帯での高齢者の買い物困難に対応したり、災害時には到達が困難な地域へ医薬品を配送したりといった活用を目指す。各モビリティーには一長一短があり、それぞれが相互補完し、場所によって最適な運搬手段を選択するサービスを目指すという。
(堀 茜)