KDDIは9月3、4日、東京都内でビジネスイベント「KDDI SUMMIT 2024」を開催した。基調講演には同社の高橋誠社長に加え、米OpenAI(オープンエーアイ)日本法人の長崎忠雄社長が登場。日本における生成AI活用の可能性について、長崎社長は「日本にはAIに対するマーケットと可能性がある。少子高齢化など直面する課題解決の意味でも相性は良い」と述べ、社会課題解決に貢献する姿勢を示した。高橋社長は三菱商事と共同経営するローソンにおいて、労働力が不足していく中での顧客対応や在庫管理などでAI活用を進めるとした。
(堀 茜)
対談するKDDIの高橋誠社長(左)と
Open AI Japanの長崎忠雄社長
長崎社長は、OpenAIのビジネスの現状について説明した。8月末時点で「ChatGPT」のアクティブユーザー数は、2億人を突破したという。「史上最速で2億のアクティブユーザー数に達したソフトウェアになる。これだけ使いやすいかたちでAIが使えるソフトは今までなかった」とアピールし、特に8月末で英語圏でのサービス提供開始から1年を迎えた法人向けサービス「ChatGPT Enterprise」は企業の採用が急速に伸びているとした。
ChatGPTの今後のモデル展開についても言及。「GPT-3」と「GPT-4」を比較すると「その性能は100倍近く上がっている」(長崎社長)。また現在最新の「GPT-4o」では、音声や画像など複数形式のデータを扱うマルチモーダルにも対応している。長崎社長は「いずれ出てくる『GPT Next』というAIモデルは、過去の実績から見て100倍近く進化していく。AIというテクノロジーは従来のソフトウェアと違い、指数関数的に成長する。そのため1日も早く、AIとともにある世界をつくることを支援したい」と展望した。
対談は、高橋社長が長崎社長に質問する形式で実施された。長崎社長に、アマゾン・ウェブ ・サービス・ジャパン(AWSジャパン)のトップから転身した経緯を尋ねると、「AIと出会って、AWSでクラウドに初めて出会った時と似たような衝撃を受けた。日本企業が正しくAIを理解し、使い、成果を出すお手伝いをしたいと思ったのが大きな理由だ」と述べた。また、オープンエーアイが世界4カ所目、アジアで初の拠点を日本に構えた理由を問われると、「日本はイノベーションや新しいテクノロジーにどん欲に取り組んできた歴史がある」と指摘。AIでより良い社会をつくるというオープンエーアイのミッションを引き合いに、少子高齢化や地方衰退といった課題に世界に先駆けて直面している日本では「当社が解決できる課題が多い」と語った。
高橋社長はローソンでの戦略について、顧客接点を増やし新たな事業展開につなげることで「ソーシャル(社会的)なインパクトを起こすことができる」と意気込みを語った。人口減少に伴う労働力不足を見据え、情報技術を活用してローソンを街の拠点に位置付ける方針だ。対談では、通信とAIの未来についても言及したほか、次世代通信システムに当たる「6G」がどのようなものになるかの議論もあった。両者ともに6Gの具体化においてはAIが重要な存在となるとの見解を示した。