大塚商会は2月3日、2024年度(24年12月期)の連結決算を発表した。売上高は前年度比13.3%増の1兆1076億6800万円、営業利益は同18.1%増の743億6000万円、純利益は同12.7%増の534億8100万円で、通期の売上高が初めて1兆円を超えた。各利益も過去最高だった。既存顧客向けのアップセルに成功し、事業全体が堅調に推移した。
(日高 彰)
大塚裕司 社長
同社は24年度期初時点の業績予想で売上高を1兆260億円と見込んでいたが、800億円以上上回る着地となった。売上高は2期連続で前期から1000億円以上増加した。二つの事業セグメントのうち、システムの設計・開発や関連製品の販売を領域とする「システムインテグレーション事業」の売上高が前年度比16.1%増と大きく伸長したが、稼働後の保守や消耗品販売にあたる「サービス&サポート事業」も8.3%増と堅調な伸びを示しており、同社全体のビジネスが好調だった。25年10月のWindows 10サポート終了まで1年を切ったことから、PCの入れ替え需要は急速に高まっており、第4四半期(24年10~12月)のPC販売台数は前年同期から52.6%増の41万4387台となった。
売上高は期初予想を800億円以上上回り1兆1076億円に
(決算説明会での投影資料より)
計画を上回る業績となったことについて大塚裕司社長は、業績予想の公表値は慎重に見積もった数字だったと前置きしながらも、「昨年(24年)末、全社でやりきったという充実感があった」と述べ、期待以上の成果を得られたとの感触を示した。1企業あたりの売上高は前年度比13.6%増となり、PCや複写機の取引をきっかけに業務全体の課題解決を提案する「オフィスまるごと」の戦略がより色濃く反映される結果となった。
グループでITインフラ製品のディストリビューションを行うネットワールドの事業については、米VMware(ヴイエムウェア)の販売形態変更によるマイナス影響を懸念していたが、「その他のソリューションでカバーし、(売上高)11.5%増の高伸長で大きな問題なく過ぎることができた」(大塚社長)とした。
同社が経営指標として重視する従業員1人あたりの売上高は前期から1068万円増加し、1億1442万だった。一方、営業利益率は6.7%で、中長期経営方針で目標としている7%に届かなかった。25年度はPC特需の年となるが、前回Windows 7のリプレース期は製品納入では結果を残せたものの、ソリューション提案が手薄になっていたといい、今回はPCの販売を糸口に付加価値提供をどこまで実現できるかが課題となる。短期間に集中する多数の案件に対応するために生産性低下や長時間労働が発生するのを防ぐため、社内の事務工数の見直し・削減を行っているという。
25年度の業績予想は、引き続き売上高を1000億円以上伸ばし1兆2130億円、営業利益は823億円とした。大塚社長は「売上高1兆円を達成したがこれは通過点。まだまだ十分成長できると考えている」と述べ、事業のさらなる拡大に自信を見せた。