ソフトウェア協会(SAJ)は4月9日、国立高等専門学校機構(国立高専機構)と人材育成などに関する包括連携協定を締結した。全国の国立高専生を対象とした共同教育やインターンシップの受け入れなどで連携する。地方のデジタル人材の育成を推進する狙いだ。
今回の協定では、SAJの地方におけるデジタル技術の活用を支援する「地域デジタル推進委員会」が各地の国立高専と連携して人材育成に取り組む。地域デジタル推進委員会は全国九つの地域にそれぞれ担当理事を配置し、地方創生に取り組んできた。国立高専機構は全国で51校を運営し、約5万人の学生が在籍していることから、各地域のSAJ会員と国立高専のつながりをつくり、地方におけるデジタル人材の育成や、会員企業への認知拡大につなげたい考えだ。
具体的な取り組みとしては、SAJ側から国立高専に講師を派遣してセミナーを開いたり、インターンの仕組みを整えたりする。インターンに関してはソフトウェア業界の特性を生かして、リモートでも学生が参加できるようにし、地域格差が生じないようにする予定。このほか人事交流、共同研究の促進に取り組む。
国立高専機構の谷口功理事長(左)とSAJの田中邦裕会長
国立高専機構の谷口功理事長は「国立高専生は5年間で専門的な技能を身に付けるが、社会の中で自身の技能がどのように役に立つかなど、座学だけでは分からない部分もある。(今回のSAJとの協定により)社会とのつながりをつくるという面で期待している。日本社会のDXを担う人材を育てたい」と意気込んだ。
SAJの田中邦裕会長は「学生の時からソフトウェア業界について知ってもらえれば、就職先の選択肢を広げてもらえるだろう。加えて、卒業生に東京以外の活躍の場を提供することにも取り組みたい」と述べた。
(大畑直悠)