日本HPは7月31日、従業員のデジタル体験(DEX)を可視化・管理できるプラットフォーム「HP Workforce Experience Platform(WXP)」の提供を開始した。AIを活用して、従業員が使うPCや業務アプリケーションの稼働状況をリアルタイムで把握できるほか、IT業務への満足度なども統合・分析し、結果に基づいた改善策を提案することで、生産性向上を支援する。
前田悦也 事業本部長
7月25日に開かれた記者会見で、ワークフォースソリューション事業本部の前田悦也・事業本部長は「さまざまなメーカーの機器や異なるOSが混在し、職場のIT環境は複雑化している。さらに、増え続けるサイバー攻撃への対応などでIT部門の負担は増えていく一方。WXPを導入することで、こうした課題を効率よく解決し、IT部門をコストセンターからビジネスの推進力へ変えていきたい」と語った。
中 宏樹 部長
続いて、サービスビジネス部の中宏樹・部長がWXPの機能を紹介。AIを使い、社内のPCをはじめプリンターなどの周辺機器、アプリのパフォーマンスや稼働状況、ネットワーク接続、セキュリティー、従業員の満足度などを数値化し、業務に影響が出る前に問題を検知・予測して解決策を提案するとした。AIによる予測分析と異常検知機能により、デバイスやアプリの自動的な修復が可能なほか、端末のリプレースを効率化する資産管理機能も搭載する。
一般的な管理ツールとの違いは、数値データだけでなく、従業員が直接報告したITの問題やヘルプデスクへの問い合わせ履歴、IT環境への満足度調査などの自由記述もAIが分析・統合し、個別の課題に対して具体的な対策を提案できる点だ。課題発見や解決を支援するAIチャットボット機能も備えている。
異なるOSや複数メーカーの機器が混在していても利用できる点も強みとする。販売開始時点で、エージェントをインストールできないヘッドセットやカメラなどは同社の「Poly」ブランド製品のみ対応となる。
プランは3種類あり、デバイスの稼働状況の可視化や管理ツールが使える「Standard」、AIによる異常検知や限定的な自然言語検索ができる「Pro」、AIによるセンチメント分析や無制限の自然言語検索ができる「Elite」を用意している。
販売方法は、日本HPやパートナーから直接WXPを購入して利用するほか、認定パートナーによるITサービスの一部としての提供や、日本HPがWXPを含むマネージドサービス「HP Managed Device Services」として提供することも想定している。
前田事業本部長は「DEX向上のソリューション市場は始まったばかり。2025年が元年になるかもしれない」と今後の展望を語った。
(南雲亮平)