ブレインパッドは10月16日に記者会見を開き、ECサイトなどで自然言語によるコンテキスト検索を可能にする「Rtoaster GenAI」のレコメンド技術に関する特許を取得したと発表した。顧客との信頼関係構築に寄与するAIプロダクトとしてパートナーに展開していく。
Rtoaster GenAIは、同社が培ってきたレコメンド技術と生成AIを組み合わせたサービス。エンドユーザーが「秋の夜を快適に過ごしたい」といった感覚的な表現でサイト内を検索した際に、適した商品を検索結果として表示する。
山崎清仁 エグゼクティブフェロー
特許技術は、商品やコンテンツが持つ説明テキストの意味や文脈をAIが深く理解することに特化している。AIが商品マスターを自動で拡張することで、検索キーワードとのマッチング精度を向上させる。
生成AIプロダクトの課題として、ハルシネーションや、悪意ある入力(プロンプトインジェクション)によるセキュリティーリスクなどがある。対策として事前のテストが重要になるが、山崎清仁・エグゼクティブフェローは、「生成AIは、ユーザーによる入力、商品情報といった従来の2軸に加え、コンテキストを含めた3軸でテストをする必要があり、検証対象が膨大になる」と指摘。解決に向け、ソフトウェアテストなどを手掛けるベリサーブと連携し、生成AIプロダクトの品質基準を策定した。
品質基準には、AI特有の品質モデルを定義した国際規格ISO/IEC25059などを参照し、セキュリティーやコンプライアンス面も含めた包括的な枠組みを導入している。ハルシネーションや倫理上の不適切さなどの品質を数値化し、回答内容を測定することで、プロダクトの改善サイクルを高速化する。今後は運用定着や、他のプロダクトへの展開に向けて体制を強化していく方針だ。
(南雲亮平)