アイルランドAccenture(アクセンチュア)日本法人は11月27日、社長交代会見を開き「AI時代に相応しい後任」(江川昌史社長)として、濱岡大・常務執行役員を12月1日付で代表取締役社長に昇格すると発表した。濱岡新社長は「ユーザー企業の変革を加速するプラットフォーマーになる」と就任の抱負を述べ、同社が持つ人材や知見、パートナー企業の協力といった経営資源をフルに活用し、ユーザー企業とともに変革を推進していく姿勢を改めて打ち出した。江川氏は、同日付で代表取締役会長に就いた。
濱岡大・新社長(右)と会長に就いた江川昌史氏
AIの登場によって反復的な業務は自動化、高速化が可能になるとし、「人間はこれまでにない新しいプロジェクトを立ち上げる領域にシフトしていく」(濱岡新社長)との見通しを示した。同社はAI戦略の策定も含めた上流コンサルティングから実装、運用までのプロジェクト型の仕事を強みとしており、「プロジェクトを通じてユーザー企業に伴走しながら業務変革をともに推し進めていく」(同)とする。AIに関しては、AI単体のプロジェクトはそれほど多くなく、あらゆる業務変革のプロジェクトでAIを活用していく方式になると見ている。
また、アクセンチュア自身がAIを活用した生産革新に取り組んでいく中で、「従業員のスキル転換や新規採用、育成は継続していく必要がある」とし、採用活動を緩める考えはないことを明らかにした。直近で国内2万8000人の従業員を抱える同社だが、ユーザー企業の業務変革に必要であれば、「結果として3万人、4万人と増えていくこともあり得る」としている。
SCSKやNTTデータグループが親会社の完全子会社化を進めるなどなど業界再編が進み、競争環境が変わっていることについて濱岡新社長は、「ユーザー企業から求められるスキルが変化している」表れだと捉え、ユーザー企業と向き合い、変化する要求にスピード感を持って、どう応えていくかを「当社内部で話し合っていく」としている。
会長に就く江川昌史氏は、2015年の社長就任から10年間で日本法人の売り上げを7倍、従業員数を5倍に増やした実績を披露した。DXに象徴されるデジタル化の波を上手く捉えて、業務効率化のみならず売り上げや利益に直結する「クリエイティブな人材と既存のコンサルタントやSEとの融合ができた」ことがビジネス拡大につながったという。江川氏はアジアパシフィック共同CEOとグローバル経営委員を兼務する。日本の売上高はアジア太平洋全体の55%を占めていることを受け、日本法人会長としての仕事を5割余り、APAC共同CEOとグローバル経営委員の仕事を5割弱の比率で担う。
(安藤章司)