キヤノンITソリューションズは11月27日、オンラインで事業説明会を開催した。長期ビジョン「VISION2025」を振り返り、最終年の2025年は20年比で2倍の利益を見込むとの成果を発表。エンジニアリングDXや金融CXなど、売上計画の25%以上を担う七つの重点事業領域で今後も受注活動をさらに強化させる。重点領域の一環であるデータセンター(DC)やセキュリティー関連サービスを拡充させ、価値を提供すると表明した。
(下澤 悠)
(左から)西野勝規・執行役員、金澤明社長、山岸弘幸・上席執行役員
同社はストックビジネス比率を上げるため業種・業界に特化したサービス創出を推進し、DCやクラウドを活用したSaaSビジネスに投資して市場への訴求力を強化。25年のSI事業では、メガバンクなどの大型案件を担ったことで技術力や組織の強化ができたとした。同年発表のSCM業務ソリューション「Armerial」で製造業DXを支援し、「PREMIDIX」でマイグレーションを促進する。データドリブン経営を伴走支援し、DXコンサルティングなども推進してきた。
ITプラットフォーム事業については、25年に合併したTCSとのシナジー効果を解説。TCSはITインフラの構築から運用に強くライフサイクルを通じた支援が加速でき、案件対応力が向上した。キヤノンマーケティングジャパングループのソリューション拡販などが期待され、金澤明社長は「顧客に寄り添う力が大変強い会社だと思う。われわれも見習い、そうした力を強化したい」と話した。
ITインフラサービス「SOLTAGE」では、DC設備とセキュリティーサービスのラインアップが拡充。西東京DCで、GPUなどの超高負荷サーバーに対応できる直接液冷方式(DLC)を導入している。ITプラットフォーム事業部門担当の山岸弘幸・上席執行役員は「(顧客は)最短1~2カ月の短期間で利用が始められる」と強みをアピールした。
クラウドセキュリティー戦略では、▽ラボでの調査研究やR&Dなどで培った技術力▽国内外の先進的な製品発掘を含むサービス開発力▽企画から設計、構築、運用、保守まで一貫して対応できるライフサイクルサポート力ーの三つを掛け合わせて、中小からエンタープライズ規模まで顧客を支える。同事業部門ITプラットフォーム営業統括本部長の西野勝規・執行役員は、販売戦略について「アセスメントサービスを通じてセキュリティー対策を可視化し、最適な施策選定を支援する」と強調した。
SOLTAGEでは、新たに「Cato SASEクラウド」を対象としたSOC(Security Operation Center)サービスを26年3月から提供すると発表。サービスは収集したログやアラートなどをAIで相関分析し、対処シナリオを提示。初動対応も自動化され、人手に依存しないことで外部委託でネックとなる利用料金の低減を実現する。
経済産業省が26年から本格運用するセキュリティ対策評価制度への対応も図る。サプライチェーン全体のセキュリティー水準の底上げに寄与するため、必要なソリューションの提供や管理体制の構築など制度対応のハードルを下げるサービスで支援をする方針だ。