SailPointテクノロジーズジャパンはアイデンティティーに対する管理とセキュリティーの確保を動的に実施する「アダプティブアイデンティティー」の展開を推進している。2025年9月に就任した福島徹・日本法人代表兼米SailPoint Technologies(セイルポイントテクノロジーズ)バイスプレジデントはパートナーとの協業を重視した事業戦略を説明し、「パートナー各社とともに国内企業の変革の足かせをなくしたい」との意気込みを語る。
福島 徹 代表
同社が提唱するアダプティブアイデンティティーは、脅威に対してリアルタイムに近いかたちで各アイデンティティーの権限を更新して被害を食い止める概念。例えば攻撃を受けた際に、侵入者のラテラルムーブメント(横展開)を迅速なアクセス権限の制御で防げるようにする。SaaSといったシステムの利用が進む一方で、アイデンティティーを狙った攻撃が増加する状況を受け、顧客が安全にDXを進める方策として市場に訴えていく。同時に、同社製品をアイデンティティー管理の効率化やコンプライアンスの向上だけではなく、顧客のセキュリティー戦略の一環に組み込まれるようにする。
これを実現する具体的な機能として、このほど「SailPoint Observability&Insights」といった機能を追加。同社製品上で一元的に管理するアイデンティティー情報を相互に関連付け、グラフィカルに可視化できるようになる。これをEDR(Endpoint Detection and Response)といった外部のセキュリティー製品と連携させ、複合的な情報からアイデンティティーに関するコンテキストを理解することで、脅威を検知した際に柔軟に権限の剥奪を可能にする。
今後の販売戦略ではパートナーとの連携を強化する方針で、コンサルティング企業やリセラーとの関係強化に取り組む。福島代表は「まずはアダプティブアイデンティティーをパートナーに理解してもらうことがベース。すでに多くのパートナーには同調してもらえている」と訴え、今後はパートナーが持つ商材と組み合わせた販売などを推進する方針。このほか導入後のプロフェッショナルサービスに加え、セキュリティー製品との連携を支援する機能などを顧客に訴えていく構えだ。
国内企業のアイデンティティーセキュリティーの取り組み状況については、「まだまだこれから」(福島代表)との認識を示し、単にアイデンティティーを管理するだけにとどまっている企業が多いとする。その背景について、福島代表は「最近は変わってきたとはいえ、終身雇用の文化が根強いため、アイデンティティーの管理をバックオフィスが担う業務として、単なるコストと考えられる場合がほとんどだ。これを戦略的な投資に変えていきたい」と話す。一方で、「最近ではDX推進室のような顧客との会話が増えている」とも紹介。「(同社製品を)DX戦略におけるセキュリティーの一要素とする認識は徐々に広がっている」と手応えを示す。
(大畑直悠)