レノボ・ジャパンは5月28日、2026年度の事業戦略説明会を開催し、急速に普及するAIが生み出す課題の解決を目指す方針を示した。檜山太郎社長は「日本の産業界はAIを活用し企業価値の向上を目指しているが、依然として多くの課題があり、対策が必要だ」と述べ、AIの実運用を加速させる考えだ。
(南雲亮平)
檜山太郎 社長
中国Lenovo(レノボ)グループ全体の25年度通期業績は、売上高が前期比20%増の831億ドル(約16兆円)と、過去最高となった。特にAI領域の売り上げは前年度比で倍増し、成長の主なけん引力となっている。国内市場でも売上高・利益ともに20%超の成長を記録した。PCの更新やGIGAスクール構想による特需が一段落する26年度以降は、市場の落ち着きが見込まれるが、AI分野への投資拡大を今後の成長の推進力と位置付けている。
檜山社長は、AI導入が試行段階から本格運用へ移行するなかで、三つの課題が浮き彫りになっていると指摘する。第一は部材不足とコスト増だ。AI需要の急増によってSoC(CPU/GPU/NPU)やメモリー、SSDなど主要部品の需給バランスが崩れ、調達コストが高騰している。第二は電力消費の急増だ。AI活用の広がりに伴い、データセンターの消費電力は25年から30年までに3倍に達すると見込まれており、大きな負担となっている。第三はITリソースの不足で、多くの企業でIT部門が既存デバイスの管理に追われ、AI導入など戦略的な投資に人員を割きにくい状況が生まれている。
こうした課題の解決に向け、レノボはスマートフォンからデータセンターまで網羅する幅広いポートフォリオを活用する。部材不足については、構成を最適化したサーバーやストレージなどの優先供給を行う「Top Choice Express」の展開で対応する。売れ筋製品やオプションを厳選して常に工場に用意することで、コスト抑制と納期短縮を両立する。
電力問題には、改良を重ねた第6世代の水冷システム「Lenovo Neptune」で対処する。最大45℃の温水を活用し、機器から発生する熱の95%以上を除去、データセンターの電力を約40%削減できるため、コンピューティングパワーの電力効率向上が期待できるという。リソース不足には、アズ・ア・サービス型モデル「TruScale」を推進する。ハードウェアの導入から運用、廃棄までを従量課金制で提供することで、顧客の資産管理負担を軽減し、AI活用にリソースを集中できるよう支援する。
パートナー戦略については、従来のエンタープライズ領域での強固な関係を維持しつつ、新たにAIスタートアップやAIベンダーとAIエコシステムを構築することを計画する。AI活用を得意とするパートナーと連携し、ソフトウェアも含めたソリューションを「TruScale」として提供する体制を整え、7月をめどに発表する方針だ。また、部材調達が難しい状況を受け、調達先拡大の観点からもTop Choice Expressの需要が高まっているという。