1990年に劇場公開された「恋のゆくえ」に始まり、それ以降「MASK」、「セブン」、「ミスター・ビーン」の大ヒット作の映画配給を手がけてきたのがギャガ・コミュニケーションズ。

 ここ数年でも、マイケル・ダグラス主演の「ゲーム」、トム・ハンクス主演の「グリーンマイル」などが大ヒットした。レンタルビデオ市場が成長し始めた86年に設立され、映像コンテンツの重要性が増すなかで時代とともに成長してきた企業だ。

 同社は01年6月にナスダック・ジャパン市場でIPOをした。上場企業という信用について、「ブロードバンドによる映像コンテンツの配信分野では、従来、映画関係ではなかった大手企業との取引が拡大することを考慮した」(吉岡秀浩経営戦略室長)。

 さらには、ハリウッド作品などを手がけるうえでもナスダック公開企業というイメージが寄与する。特殊な業界という理由もあるが、新卒社員の募集では8人の募集枠に2万人の応募が殺到する狭き門だ。

 「映画業界では東宝以来50年ぶりの上場になるのでは」(同)と話す。大ヒットとなった「千と千尋の神隠し」で東宝は株式市場でも注目されたが、映画配給だけに頼るビジネスはリスクが高いのが実情。ヒット作品は、宣伝やプロモーションにかかるコストも膨らむ。

 しかし、劇場公開後の収益モデルを構築しているのがギャガの強み。まず、自社でマネジメントする映画投資組合を作って映画の権利を共同で買い取り、劇場配給だけでなく、ビデオソフトメーカーやテレビ向けに版権を販売する。

 この仕組みはリスクの一極集中を回避するだけでなく、版権の買い取りから最終的な販売の終了まで一貫した収益モデルの算出にデータベースを活用していること。過去の実績と統計学が、映画特有の高いリスクを軽減し、安定した収益を可能にした。

 さらに同社が強みを発揮するのは、タイムワーナーなどハリウッドメジャーの作品。独立系の同社に版権を販売したほうが、版元は早期の資金回収により、リスクを回避できるという。「日本における大ヒット」というのも、同社のような存在があるからだ。

 グループ戦略では、史上初の24時間映画情報専門チャンネルの企画・制作をメインとしたカミングスーンTV、ビデオやDVD業界の情報誌の出版など、グループ会社の展開が、裾野の拡大につながる相乗効果を生み出している。

 映画市場は、1つの建物に複数の劇場をもつシネマコンプレックスが相次いで誕生。ブロードバンドやテレビの多チャンネル化とともに映像コンテンツのニーズは、急速に市場規模を拡大させている。(マーケットウォーク 鮎川 良)