インフラが整う

 2001年は日本の通信環境のブロードバンド化が進んだ年となった。従来の電話回線を利用した通信環境では、オンラインによるソフト流通を行うには十分な環境とはいえなかったが、ブロードバンド化が進んでいくことで環境が大幅に整ったことになる。

 「01年はオンラインソフト流通が決定的に変化した年だ。かつてマイクロソフトが提唱していたマルチメディアパソコンの規格では、CD-ROM2倍速と定義していたが、1.5Mbpsはほぼ2倍速CD-ROMの転送速度と同じ。オンライン環境がマルチメディアパソコンでCD-ROMを利用するのと遜色がなくなったのだから、これは劇的な変化以外のなにものでもない」。ベクター・梶並伸博社長は指摘する。

 「当社の実績に関していえば、確かに昨年11月から売り上げが大幅に伸びている」と実績も出てきている。

 11月になって売り上げが増加した要因は、「01年夏にADSL接続料が大幅に引き下げられ、実際に導入が進んでいったのが11月頃だったということではないか」と、ブロードバンド化が実現したのがこの時期だったと推定している。

 「今後さらに回線環境が整い、帯域は拡大していくことになるだろうが、ユーザーの本質的な変化という意味で、やはり01年はエポックメイキングな年だったといえるだろう」

 つまり、オンライン流通が飛躍の時期に入ったということになる。

 梶並社長の試算では、「今、パソコン市場は伸び悩んでいるといわれているが、パソコンの年間出荷台数が1000万台規模で止まるはずがない。どう考えても2倍のマーケットサイズはある。私は、今がパソコン出荷の底だと思っている」と、パソコン市場のマーケットサイズもさらに拡大していくと見ている。

 オンラインソフト流通そのものの行方に関しては、「今年度(02年3月期)の売り上げは伸びているものの、実はこの実績についても期待よりは低かったというのが実際のところ。パソコン不況の影響があったのだろう。まあ、不況の影響で落ち込むことなく伸びているということはADSLの効果だとは思う。とはいえ、実際にどれくらいの伸びかという数字を示すのは難しい。ただし、今後もさらに上向いていく方向にあることだけは間違いない」

 パソコン不況の影響で伸び率が低くなっているものの、今後の発展は揺るぎないと話す。

 国内のオンラインソフト流通では最大手といえる同社だ。

 「当社はソフトバンク・コマースとの提携により、品揃えでは国内随一と胸を張って言える。販売システムは独自に開発したものなので、メーカーの要望にあわせてカスタマイズができる。さらにIPO(株式公開)で20億円を超すキャッシュを得ており、財務基盤を盤石にする努力も行っている」と、市場の拡大に対応できる体制を整えていることを強調する。

 通信インフラが整い、オンラインソフト流通市場はこれからが拡大の本番だろう。それだけに市場に変化が起きる可能性も少なくない。品揃え、販売システム、経営基盤という3つの要素を揃え、どんな市場変化が起こっても対応できる体制をとることが必要だ。

 「少なくとも、オンラインソフト流通の世界ではガリバーであり続けたい」と話す梶並社長。これからがビジネスの本番なのだ。