身につけたい社会人マナー スタートダッシュ新入社員

<身につけたい社会人マナー スタートダッシュ新入社員>第1回 IT産業に身を置く

2002/04/01 16:04

週刊BCN 2002年04月01日vol.935掲載

 新しいスーツに身を包み、いかにも新入社員といった雰囲気を漂わせる初々しい男女の姿が目立つ時期になった。希望の会社に入れた人もいれば、不本意ながら今の会社にと、内情はさまざまであろう。だが、月並みな言葉ながら、希望に燃えて新しい一歩を踏み出そうとしていることだけは確かなのではないか。

 新しいスーツに身を包み、いかにも新入社員といった雰囲気を漂わせる初々しい男女の姿が目立つ時期になった。希望の会社に入れた人もいれば、不本意ながら今の会社にと、内情はさまざまであろう。だが、月並みな言葉ながら、希望に燃えて新しい一歩を踏み出そうとしていることだけは確かなのではないか。

 これから、大学卒業者でも30数年、社会の荒波にもまれながらの人生が始まる。得意の絶頂を経験することもあれば、失意のどん底を経験することもあるだろう。

 30年といえば、長いように感じるが、「過ぎてみればあっという間の気もする」というのは、経験者が共通に述べる感慨である。

 社会人になって、学生時代と最も異なるのは時間軸の変化である。1週間、1か月、1年があっという間に過ぎ去っていく。

 そうはいっても、30年という時間は長い。戦争、地震などの天変地異に見舞われるかもしれない。ことIT分野に関しては、中国の台頭で日本は豊かさを奪われていくかもしれない。

 そうしたなかで、家族を養い、まずまずの人生を全うするには、仕事の実力をつけるしかない。

 実力の中身については、もちろん仕事によって異なってくるが、民間企業にあっては、入社試験の成績で将来の出世ポストまで見えるという時代でなくなった。

 いま、経済界ではグローバリゼーションが声高に叫ばれている。ベンチャー企業に対する認識の変化なども含めて、「努力すれば報われる」社会への胎動と捉えることができる。

 皆さんが身を置くことになったIT産業界は、今はIT不況の元凶とされているが、中長期的に見れば成長産業であり、最も国際化の進んでいる産業でもある。

 産業というのは栄枯盛衰を繰り返しており、衰退産業にいれば、1企業、1個人の努力ではいかんともし難い側面があるが、IT産業にあっては1個人の創意工夫が産業のあり方を変え、社会を変えていく可能性を秘めている。

 まずは、こうしたIT産業に身を置く幸運を噛みしめてもらいたい。といっても、IT産業が向こう30年余にわたって、成長産業であり続ける保証はどこにもない。それを可能にするのは諸君の双肩にかかっている。この自覚をまずもつことが重要である。

 会社にとって、新入社員が1日も早く独り立ちできるようになってもらいたいというのは切実な思いである。

 大手企業は、2-3週間にわたり、新入社員研修会を開催するのが一般化している。お金と時間をかけて、このような研修を行うのも、新入社員に早く独り立ちして欲しいという願いからである。その内容は、前半は社会人としての常識、一言でいえばマナー講座、そして後半に自社製品の教育という構成になっているところが多い。

 そこで本講座では、最も基礎的なマナーについて、連載で紹介していこう。(石塚 透)
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