国土交通省国土計画局がGIS(地理情報システム)アプリケーションの可能性を探るために2000年度から3カ年計画でスタートしている「GIS実証実験データベース利活用実験(GIS公募型実証実験)」。2年目の01年度も全国7府県で合計139団体が参加してさまざまなGISアプリケーションが開発され、5月下旬には都内のホテルで01年度成果発表会が開催された。02年度の実験についても6月中旬まで参加団体の公募が行われ、「データ流通を地域に定着させる」との目標を掲げて、来年1月まで実験が行われる予定だ。今回の成果発表会で発表されたアプリケーションから面白いものをいくつか紹介しよう。

●中学校の授業を対象とした「教育GIS」の利用実験(岐阜県地区、セイノー情報サービス&パスコ)

 中学校の選択理科・選択社会の授業で、生徒が調べた内容を電子資料としてまとめるツールとして「教育GIS」を使う試みが行われた。地図閲覧ソフトには「Arc Explorer」を使用し、地図データはファイルサーバに保存して、クライアント・サーバ環境で授業を行った。選択社会の授業では、岐阜市内のコンビニエンスストアや病院、学校などの建物の分布と、人口密度、地価などを重ねあわせて、関連性を探るのに教育用GISを活用した。1時間目の授業でGISソフトの使い方を学び、2時間目でGISを使って選定したテーマについて調査。3時間目でGISを使って発表用資料の作成を行い、4時間目で発表を行うという授業内容。GISのことを全く知らなかった生徒たちが、GISソフトを使いこなし、最後に行ったアンケートでは「授業が楽しかった」という結果が得られた。

●GISとGPSを活用する「地域密着型の緊急通報システム」への適用実験(大分県地区、太平工業)

 過疎化が進む農山間部における緊急通報への通報手段としてGIS(地図情報、防災マップ情報)とGPS(位置座標システム)、携帯電話網の3つを活用したシステムの可能性を検証した。システムは、GPS位置情報発信器を携帯電話に接続して、発信器のボタンを押すと公衆回線網を通じてGPS位置情報受信パソコンにデータが送信される。このデータをインターネットを通じてGISパソコンに送信し、地図上に発信地を表示するとともに、事前に登録してある救助人のなかから発信地に最も近い人をGIS上に表示し、連絡をとって救助に向かわせるという仕組みだ。実験の結果、発信器のボタンを押してから、約1分以内に「発信地点」と「救助人」を表示することができた。システムに使用する地図も縮尺2500分の1で精度良く利用できることができた。ただ、GPSの精度が臼杵市で行った実験で10-30m程度ずれる結果となり、実験地点を変えてもバラツキが生じた。GPSの精度をいかに上げるかが課題となった。また、救助人への伝達方法として略図付きメールで知らせる方法も試みたが、わかりやすい略図の作成とデータベース化も今後の課題として残った。

●GISを用いた歯科医院経営環境の分析(沖縄県地区、都市科学政策研究所)

 沖縄では、歯科医院の絶対数増加にともなって、1医院当たりの来院患者数が減少する傾向にあることから、GISを使って経営環境を分析するシステムを構築した。沖縄県歯科医師会名簿、職業別タウンページなどをもとに、競合歯科医院データベースを作成。また、対象とした歯科医院の患者データベースから、来院患者一覧を作成して、それらのデータを地図上に展開できるようにした。国土交通省国土計画局GISホームページのアドレスは、http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/gis/。