変わるかシステム入札

<変わるかシステム入札 第二章>フューチャーシステムコンサルティング(下)

2002/07/08 16:18

週刊BCN 2002年07月08日vol.948掲載

 政府のIT入札について問題を感じると話すフューチャーシステムコンサルティング・金丸恭文社長。だが、実は根本的な問題として、「官公庁にとどまらず、民間企業のシステム開発においても、同様の問題が起こっている。日本全体が変革していかなければ、問題は起こり続けるのではないか」と指摘する。金丸社長が考える、日本が抱える問題とは何かを聞いた。

民間のIT調達にも問題あり

 ――官公庁のIT構築では、大手ベンダーの寡占化も問題となっていますが。

 金丸
 実は日本にとってプラスになるシステムができるのであれば、寡占でもかまわないと個人的には思っています。ただし、残念ながら日本では官公庁だけでなく民間でもIT導入によるイノベーションが起こりにくい。私はその点が非常に大きな問題なのではないかと思います。

 ――官、民の両方に問題点があるのですか。

 金丸
 現在のITの主流であるインターネット、データべース、分散型サーバーといった技術はフラットでオープンな組織を前提にした技術です。例えば、イベントトリブンというのは欲しい情報を欲しい時に出すことが目的の技術ですが、日本の縦型組織の手続きなしに欲しい情報を出すこともできない状況では、技術的にイベントトリブンであってもそれが全く生かせない。つまり、日本の組織形態にあわせるとグローバルスタンダードであるオープン型の最新技術ではなく、旧来型の固有システムで十分ということが起こりがちなのです。

 ――外資系IT企業の経営陣は日本企業のIT活用、例えば電子メールによる情報共有などはもっと効果的に行えるはずだと指摘します。

 金丸
 例えば、みずほの問題も根っこのところでは同じことが問題としてあるように思います。みずほの問題は、軍隊式の縦型ではなく、横串のフラットな組織体でのリーダーシップをとる人がいれば回避できたのではないかと思うのです。

 しかし、現実には縦型のリーダーシップしか発揮されず、複数の問題が解決されなかった。官公庁のシステムでも、縦型しか考えられてない限り、投資効果の薄いITシステムにしかならないように思います。

 ――日本の組織が縦型から脱皮し、IT投資を生かせる組織体に変化するためにはどうすればよいのですか。

 金丸
 残念ながら、簡単にはいきません。時間はかかるがあきらめないで続けるしかない。時間はかかると思いますが、あきらめないで続けていくことが実は一番重要だといえるかもしれません。
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