WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第115回 グリッド基盤はLinux

2002/07/29 16:04

週刊BCN 2002年07月29日vol.951掲載

 IBM技術戦略担当アービン・ダウラスキーバーガー副社長は、その長い名字と共に、IBMの優れたITコンセプトを創ることでも世界の業界に名を知られる。同副社長は次世代企業ITの主流は集中、分散と変化してきた流れのなかで、多数のコンピュータ群を網目のように連動するグリッドコンピューティングだと位置づける。多くのコンピュータ群を共用する企業間ではウェブサービス構築が容易となり、これら複数企業はバーチャル企業を形成するまでに発展すると説く。さらに同副社長はこのグリッドを構築するシステムの基盤OSはLinuxになると主張する。

次世代企業ITの主流に

 このためグリッドコンピューティングを次世代ITモデルに設定したIBMが、Linuxを全サーバー共通OSに採用した理由だと説明した。一般にLinuxはソースコードが公開されているオープンソースと、OSカーネルが無償と改版ソフトの配布が自由という2つの意味の「フリーOS」がその特徴だと理解されている。しかしダウラスキーバーガー副社長は、Linux特性はそんな表面的なものではなくユーザーを特定メーカーや特定商品から開放するということが大きな利点だと次のように説明する。

 「まずLinuxはインテル、各種RISC、組み込み装置から各サーバーの仮想パーティション内、そしてメインフレーム上でも使える」「このようなLinuxの高い移植性はこれまでのOSレイヤーで見られない最高の特徴だ」と同副社長は強調する。これまでのOSは1つのアーキテクチャだけで動く。このためウィンドウズを採用すれば、インテルを使わざるを得ない。Solarisを選べば、使用ハードは自動的にサンに決定される。しかしLinuxはあらゆるプラットフォームで動くので、ユーザーは各時点で最適アーキテクチャを自由に選定でき、いつでも変更も可能である。このLinuxの大きな特徴を見習ってベータベース、アプリケーションサーバーなどミドルウェア群もLinuxと同じように各種アーキテクチャで使える方向を目指して開発が進められていると同副社長は補足した。

 「Linux第2の特徴はコミュニティ開発というOS開発の組織の新しい概念をもつことだ」と同副社長は語る。「これによってユーザーは特定ソフトベンダーからシステムを入手する必要がなくなり、OSを改良するにも特定ベンダーの開発体制や計画に依存することもなくなり、ユーザーは完全にベンダーインデペンデントの権利を手にすることができる。このベンダーに依存しないという概念そのものがLinuxコミュニティ唯一の誇り」でもあると同副社長は説明する。このようなLinuxを基盤とするグリッドコンピューティングであるので、当コンピューティング概念そのものがインターネットを真の「分散コンピューティングプラットフォーム」に昇華させると同副社長は結論づけた。(中野英嗣●文)

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