大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第45話 もうかりまっか

2002/08/12 16:18

週刊BCN 2002年08月12日vol.953掲載

水野博之 高知工科大学 副学長

 「どうです、もうかりまっか」という朝の挨拶から大阪は活動を始める。「ぼつぼつでんな」といえば「まあ、うまくやっている」ということで、多くは「あきまへんわ」という言葉が返ってくる。時として「死に、死にですわ」という人もいる。「死にかけている」と言いながら、走り回っているのが現在の大阪である。

 博学な友人によると、挨拶に「もうかりますか」なんていうところは、日本中ほかにどこにもないそうで、世界でも1か国だけそんなところがあるだけだそうだ。こんなユニークなところが大阪のド根性なのである。この街には昔から「船場大学」などと呼ばれる修練のシステムがあって、小僧の頃から放り込まれて、ビジネスの如何なるものか、教え、たたき込まれたものだ。これこそ、アントレプレナーの基本なのである。いくら経営学の本を読んだって出て来ようはないのだ。

 ここらあたりが日本の沈滞の最大の理由である。何度も言うが、一度も金モウケなんかしたことのない連中が、頭のなかで、ああでもない、こうでもない、とこねくりまわした結果、日本は沈みに沈んだのだ。ええ格好したって仕様がないじゃないか。ビジネスというのは、書物のなかから出てくるものでも、知識や権力のなかから出てくるものでもない。発想し、工夫し、行動するところから出てくる。

 松下幸之助がよく言ったように、「教え難いもの」なのだ。実践を通じて体得していく以外はないものなのだ。政府が主導できるようなものではない。政府のできることは、行動する人たちの邪魔にならないようなインフラをつくることだ。ひとことでいえば、規制を廃止し、国民を信じることである。官僚国家の行く末がいかにみじめなものであるかは、すでにソビエト連邦において実証済である。「どうだ?もうかりまっか?」(大阪・道頓堀にて)
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