元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第13回 日本電算(上)

2002/09/30 16:04

週刊BCN 2002年09月30日vol.959掲載

新規分野に打って出る

 日本電算は、受託開発で年間数億円を売り上げる企業に過ぎなかった。NECの特約店ではあるものの、社員数30人と小規模で、主に流通業向けのソフト開発を手がけた。自社独自のパッケージはなく、仕様書に基づく受託開発が中心だった。

 山田秀之常務取締役は、「市場全般が冷え込むなか、『このままNECの下請けで食っていけるのか』という議論を数年間続けた。売り上げは横這い。やはり無理そうだ。NECにはさんざん世話になっているので、反旗を翻すようなこともできない。かといって、社員の大半は技術者で、積極的な営業にも出られない…」。葛藤が続いた。

 悩んだ結果、「コンピュータにとらわれず、誰も手をつけていない新規分野の開発を手がければ、世話になったNECと衝突することもなく、これまで打ち出せなかった当社独自のパッケージを開発できる」という結論に。日本電算が選んだのは、携帯電話を使った業務システムの独自開発だった。

 昨年時点で、携帯電話を使った業務システムで、メジャーなものはまだほとんど出ていなかった。もともと流通業向けのソフト開発は手慣れているうえ、携帯電話はトラックなどと通信するのに適している。数多くのトラックや無数に流れる貨物を管理する流通業ならば、携帯電話を使った業務システムに対する需要がある。

 今年4月、(1)KDDIのGPS(全地球測位システム)機能付き携帯電話、(2)バーコード読み取り機、(3)本部管理用のパソコンの3つを組み合わせたシステムを開発した。写真のように、携帯電話とバーコード読み取り機を接続するだけの簡単なシステムだが、この簡単さが顧客らに受けた。ビジネスモデル特許も申請できた。

「これまで、一部細かなツールソフト類の外販はしたが、特許申請もする本格的な独自パッケージは初めて。今年度はこの独自パッケージが売り上げの半分を占める見通し」と意気盛んだ。

 次回は、同システムの詳しい中身を紹介する。(安藤章司)
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