変わるかシステム入札

<変わるかシステム入札 第二章>NTTデータ経営研究所(上)

2002/10/14 20:43

週刊BCN 2002年10月14日vol.961掲載

 NTTデータ経営研究所のシニアコンサルタントで情報通信コンサルティング部長の三谷慶一郎氏は、「電子政府化の進展には強力な力をもったリーダーの存在が不可欠」だという。電子政府化を進めるために、強力なリーダーが必要な理由はどこにあるのか。三谷部長に聞いた。

強力なリーダーが不可欠

 ――現在の電子政府に向けての進展をどう見ているのか。

 三谷
 私自身、行政の情報化について以前から主に中央官庁について関わってきた。地方自治体の実体はわからないので、中央省庁の現状という面についてお話をしたい。

 中央省庁は、まだまだ省庁ごとに縦割りで進んでいる部分が多く、もっと横の連携をとるべきだ。

 電子政府化を実現するための最大の目的のひとつは、行政による住民サービスの向上。そのためには縦割りではなく、横の連携をとって電子政府化を進めていく必要がある。

 ――横の連携が進まない理由はどこにあると考えるか。

 三谷
 その理由としては、地方分権という流れのなか、自治体は独立した存在であることが挙げられる。中央省庁としても「連携するようお願いします」とお願いをするにとどまり、強く従わせて連携させるということはできない。

 レアケースとして、自動車保有関係手続きをワンストップで行うプロジェクトである「バーチャル・エージェンシー」のように、横の連携が十分にとれているものがある。

 これは故小渕恵三氏が首相だった時に推進したプロジェクトだ。このプロジェクトを推進したのは首相自身。このように、強力なリーダーが推進したものは横の連携も十分にとることができる。

 ――独立した自治体、中央省庁との連携という、これまではなかったことを実現するためには、やはり推進役となるリーダーが必要ということか。

 三谷
 米国でも、同様の結果が出ている。米国では「クイックシルバー」と呼ばれるプロジェクトが進んでおり、電子政府化を優先的に実現するために省庁連携を進めている。

 やはり米国でも省庁間の連携をとることは難しく、それを変えていくために大統領直下のプロジェクトとなっているそうだ。省庁の連携を実現するためには、やはり強力なリーダーが必要となるのではないか。

 強力なリーダーとは、簡単に言えば、CIOということになるのだと思う。

 一般企業と同様に、情報化を進めていく権限をもったリーダーの存在が、官公庁や地方自治体の情報化においても必要になるのではないか。(三浦優子)
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