WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第127回 相変わらずの高い人気

2002/10/28 16:04

週刊BCN 2002年10月28日vol.963掲載

 米国ではノンブランドでシステムインテグレータ(SIer)のハウスブランドで販売されるホワイトボックスの人気が相変わらず高い。調査会社IDCの推定によると、米SMB(中小企業)市場のパソコン、インテルサーバーでは、ホワイトボックスのシェアは30%程度だ。

米のホワイトボックス

 この大きな市場を狙って、デルもホワイトボックス市場へ参入した。ホワイトボックスはメーカーブランドを冠していないので、品質安定を求め、有力メーカー指向の強いエンタープライズでは米国でも人気が低い。米SMBの多くは、パソコン、サーバーのメーカー名にはほとんどこだわりを見せない。多くの米SMBは自前でIT要員を確保するのも困難であるので、地域のSIer、VARをIT部門そのもののアウトソーサーとして活用している。

 従って、SMB経営者からITのすべてを任された地元SIerは、限られたユーザーのIT予算で最も利益率の高いハードを納入する。ホワイトボックスは、ユーザーシステムに必要最小限構成で自社で組み立てられるので原価低減を実現し易く、粗利益率も高くなる。またホワイトボックスはSIer自らがハードメンテナンスを手掛けられるので、継続的メンテナンス料収入も利益に直結する。米CRN紙の02年7-8月米SMB相手のSIer調査は次の通りだ。 SIer申告のベストセラーパソコンはコンパックを買収したHP29%に対し、ホワイトボックスは27%と接近している。サーバーのベストセラー回答では、HP43%に対し、ホワイトボックスは23%で大きな格差がある。さらに最も利益率の高いパソコンでは、ホワイトボックス回答が33%でHPの27%を逆転している。サーバー利益率回答ではHP41%、ホワイトボックス29%、パソコンではSMB対象SIerの3分の1が、ホワイトボックスが最も利益率が高いと回答する。

 米SMBではパソコンクライアント10台以下の企業が圧倒的に多い。現在ホワイトボックスを手掛けるSIerの原価的課題は、ハードではなくマイクロソフトの高いOSやオフィスのライセンスといわれている。このため米SIerは、マイクロソフトオフィスのオルタナティブ(代替)としてカナダ・コーレルのワードパーフェクトなども自社ホワイトボックスに搭載している。これで数十ドルの原価を低減できる。また米SIerの一部はLinuxのデスクトップ版「Lindows」をウィンドウズ代替とし、アプリケーションとしてサンのスターオフィスを利用することも検討し始めた。

 あるSIer幹部は匿名で次のように発言する。「これまではマイクロソフト監視が怖いため、ホワイトボックスでマイクロソフト・オルタナティブは考えなかった。しかし同社の独禁法裁判で、マイクロソフトと競合するソフト利用への報復措置が禁止された。これで弱小SIerブランドのホワイトボックスでもコーレルやLinuxもよければ利用できるようになったのは有り難い」デルのホワイトボックス参入で、米エンタープライズもホワイトボックスへ熱い視線を注ぎ始めた。(中野英嗣●文)
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