HDDそのまま棄てないで!

<HDDそのまま棄てないで!>5.安全なHDDデータ消去法とは

2002/11/04 16:18

週刊BCN 2002年11月04日vol.964掲載

 パソコン廃棄あるいは譲渡時の個人情報流出という事態を回避するためには、HDDに記録された全データを二度と復活できない方法で消去する必要がある。

 前回ご紹介した復旧ソフトを使ってもデータが復旧できないという状態にするためには、次の3パターンの消去法のいずれかを実行する必要がある。

(1)LowLevelFormat(特定パターンによる上書き)
(2)強磁界をかけて磁気的に破壊
(3)物理的な破壊、破砕

 順に説明していこう。

 まず(1)だが、これは専用ソフトを使ってHDDの全領域を固定パターンなどで上書きすることにより、データを塗りつぶして消去するという方法。

 基本的には、HDDデータ消去プログラムを使って1回だけ固定データを塗りつぶして消去すれば充分だといわれているが、念のため2回ほど消去作業を行っておけば完璧だろう。

 OSやHDDのファイルフォーマットに依存せずに使用できるので、この方法を使ってOSやファイルが壊れて起動できなくなったパソコンのデータを消去することもできる。

 また、HDDを取り出すなどの手間がかからないので、消去ソフトさえ用意できればすぐに消去作業を実行することができる。

 (2)は、磁気メディアであるHDDに強力な磁気を照射することによって、磁気に記録されたデータを破壊する方法。HDDは2度と利用できない状態になるので、パソコンを廃棄する際にのみ利用しよう。

 (3)は、文字通りHDDを物理的に壊して廃棄する方法。破壊された状態が確認しやすいというメリットはあるが、分解・分別などの処理コストが高い、HDDを取り出すという手間がかかるという難点もある。

 以上、HDD内のデータを完全に消去する3つの方法をご紹介したが、(2)と(3)の方法を採用した場合、そのHDDは二度と利用できなくなる。

 (1)の方法は、いってみれば絵の上から全体に絵の具で塗りつぶされた状態なので、その上からさらに別の絵を描く、つまりHDDを再利用することができるのだ。個人や企業がリースしたパソコンを返却する場合や、友だちにパソコンを譲渡する場合は、(1)の方法をとるのが無難だろう。

 さて次回は、米国防総省規格準拠の“NSA標準”や“旧NSA標準”など、計6種類のデータ消去方法についてご説明しよう。(有限会社マイカ 取締役 井上真花)
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