この連載も最後の2回となったが、一つ残念なニュースが飛び込んできた。ある大手出版社が発行する中小企業向けIT化支援雑誌が年明けにも廃刊となる。中小に向けた情報提供サービスの難しさが伺える。それは、ITベンダーが手掛ける中小向けビジネスの“難しさ”にも通じる。

 ただ、悲観していても現状は打開できない。前号では業務分野の重要性を述べたが、やはり基本的な部分に立ち戻り、可能性を探る作業が必要ではないか。足元にも需要の芽は潜む。

 例えば、大阪のある中小製造企業は「(ウィンドウズ)NT4.0のサポートが切れて、社内ネットワークの運用に不安をもっているが、導入を担当した販売会社は何も言ってこない」とこぼす。

 マイクロソフトは、NT4.0のサポートを2002年6月から縮小している。「日本は世界の中でNT4.0が最も普及した国」(同社関係者)であり、社内ネットワークにNT4.0を導入している中小企業は意外に多い。その中には、先の製造業者のように不安を抱えながら既存システムを運用する企業も少なくないようだ。

 NT4.0を導入した企業では順次、リース契約が切れ始めている。この4、5年で、ITに対する潜在的な要望は膨らんでいるだろう。また、情報機器のコストパフォーマンスの上昇を考えれば、前回と同じ投資額でも高品質なシステムを導入できる。NT4.0のリプレース需要は小さくはない。だが、ITベンダーの動きはそれほど活発ではない。

 一般にITベンダーは、中小企業へのフォロー提案にあまり熱心ではない。「追加投資が見込めず、営業効率が悪い」と、疎遠になるケースが多い。そのため中小では、リース契約切れの“塩漬け”システムが延々と稼動していたりする(現に今でも、DOS版システムやオフコンを利用する企業をよく見かける)。

 確かに、いったんシステムを導入した中小企業では、営業担当者を張り付けるほどの追加投資は見込めない。

 ただ、最低限、製品の世代交代やリース契約更新に合わせた提案活動は必要だろう。経済環境を考えれば、新規顧客の開拓より既存顧客からの需要創出の方が確率は高い。顧客の塩漬けは避けたいものだ。