元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第25回 NTTデータ(上)

2002/12/23 20:29

週刊BCN 2002年12月23日vol.971掲載

電子自治体市場の開拓

 NTTデータ(青木利晴社長)が、電子自治体市場の開拓に本腰を入れている。中央省庁の電子化案件での実績は多いが、地方の市町村におけるシェアが、NECや富士通などのメインフレーマに比べて圧倒的に少ない。だが、ここへきて、市町村の合併という“ビジネスチャンス”が到来。手つかずだった市町村・自治体のシェア拡大を目指す。

 牧野兼明・公共地域ビジネス事業本部電子自治体事業部電子自治体ビジネス推進部長は、「市町村レベルの電子自治体市場は、当社にとって大半が新規市場に相当する。守りの営業ではなく、新規開拓の攻めの営業が中心。合併にともない、新規の基幹系システムの需要が出てくるタイミングで既存ベンダーのシェアを切り崩す」と鼻息が荒い。

 自治体の電子化では、電子申請や調達など情報系と住民情報システムなど基幹系の大きく2つに分かれる。情報系は県や政令市が構築したシステムを使う「共同利用化」が進むと見られているため、市町村ビジネスの中心は基幹系になる。

 「基幹系の商談は、情報系に比べてビジネス的に2倍以上のボリュームがあるのではないか。情報系にしろ基幹系にしろ、自治体のシステムで特定のベンダーしか構築できないというものはほとんどない。むしろ、市町村合併の限られた期間内でシステムを構築する“総合力”が勝負になる」と、本命は住民情報システムなどの基幹系。メインフレーマの“牙城”とされてきた市場だ。

 自治体の多くは、メインフレーム時代のように、ベンダー1社に依存せず、複数ベンダーを組み合わせて使うオープン化を重視。

 しかし、従来のようにメインフレーマに発注すると、どうしても特定ベンダーへの依存度が高くなりがちだ。これを避けるために、NTTデータなど、ハードウェアをもたないシステムプロバイダと主契約を結ぶことで、オープン化を図る動きもある。NTTデータが本丸を攻める追い風となる動きだ。

 自治体の動きを敏感に察知するメインフレーマ側も、「場合によっては、NTTデータと組むことによって、メーカー色を薄め、商談を有利に進める」(メーカー関係者)戦略に出ているケースも少なくない。一方、NTTデータは、合併による情報システムの刷新のタイミングと、複数ベンダーを組み合わせるオープン化の波をうまく組み合わせ、自治体市場における影響力拡大を狙う。(安藤章司)
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