大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第64話 犯人探し

2003/01/06 16:18

週刊BCN 2003年01月06日vol.972掲載

コナミ 取締役 水野博之

 大変景気が悪い。この国の悪い癖で、ここまで不景気が続くと、その犯人を探そうとする。かくして、金融業界に最近は白羽の矢がたった。日本をあげてのバッシングである。日本の銀行は明日にでも手をあげそうな記事が市場にはあふれていて、人々の不安をかき立てている。しかし、2002年3月期の決算では、日本の銀行は4兆円の利益をあげているのだ。はっきり言って、このようなもうけをひねり出している産業はあまりない。

 ただ残念なことに、その利益を上回る償却をさせられているのが問題なのだ。いわゆる不良債権の問題である。不良債権の問題は、つきつめていけば、「土地」と「株」の暴落である。いわばこの両者の暴落した分を補ったと思ったら、また次に暴落するという悪循環をたち切れないところに問題があるのだ。この2つが底を打ち上昇に転ずれば、日本の銀行問題はたちどころに解決するのである。ではこの2つの問題はどうすれば解決するのか。それは景気がよくなれば解決する。

 この「鶏が先か、卵が先か」という問題のまえで政府が立ち往生をしている、というのが現在の日本の姿である。「貸し渋り」とか「貸しはがし」とか妙な言葉が流行しているが、大体、銀行は金を貸すのが仕事なのであって、この仕事を放棄したらそれこそ銀行ではなくなる。何とか貸したいのが本心なのだが、はっきり言って、何処に貸してよいのか分からない、というのが現状であろう。ここにおいて大切なのは、「新しい産業」をどう見つけるか、ということである。DEC(ディジタル・イクイップメント・コーポレーション)の投資に対するリターンが5000倍なんて話を聞くと、「ああありたいものだ」と思うであろうが、眼力がなければとてもそんな成功は得られない、と心得るべきであろう。(京阪奈クラスターにて)
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