元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第32回 大興電子通信(上)

2003/02/17 16:04

週刊BCN 2003年02月17日vol.978掲載

業務システムに事業を特化

 大興電子通信(牧野誠毅社長)は、業種・業務別に分けた“業務システム”に特化し事業全体の収益性を大幅に高めた。

 同社は、2000年度(01年3月期)中間期から経常赤字に陥り、01年度(02年3月期)まで赤字を出し続けた。02年3月には、社員1100人のうち約60人を早期退職などで削減。コストの見直しを図らざるを得ない状況となった。

 収益面では、12種類の業種・業務別の業務システムに経営資源を絞り込み、相対的にハードウェアの販売比率を下げる方針を打ち出した。12種類の業務システムを同社では「特化ソリューション」と呼んでおり、53年の創業から50年間蓄積した業種・業務別ノウハウのとくに強い部分を選び出した。

 特化ソリューションの代表例は、EDI(電子データ交換)、CRM(顧客情報管理システム)、統合基幹業務システム、物流、生産管理、CAD設計など。今年度(03年3月期)の売上高400億円(見込み)のうち、4分の1に相当する約100億円を特化ソリューションで売り上げる計画だ。

 特化ソリューションを切り口として、(1)関連するソフト開発、(2)システム構築、(3)保守サポート――など、さまざまな収益源を開拓する。これらソリューション系の収益源を全てまとめて「ソリューションサービス部門」として切り分けており、今年度中間期(02年4-9月)では、全体の6割近い約56%を占めるまでに拡大した。

 営業本部副本部長兼ソリューションビジネス統括部長の山本泰久・取締役常務執行役員は、「今年度は全体売上に占めるソリューション系の比率が約6割、ハードウェア系が約4割。来年度以降は、ソリューション系を7割に高め、ハードウェアを3割に下げることで、収益率の向上を図る」と語る。

 「オフコン最盛期の時代には、ハード本体やOS(基本ソフト)から販路、ソフト(SE)会社、保守会社までメーカーの縦割り構造だった。当社もオフコン3000台、メインフレーム400台分の顧客を開拓した。オフコンやメインフレームが何台売れたかで、付随するソフト開発や保守サービスの収益が見えた」

 だが、「今はハード本体を何台売っても収益は見えない。顧客が保有するメインフレーム台数は100台に減った。00年度あたりからの一連の経常赤字は、この切り替えが遅れたため。これからは、ソリューションありきでビジネスを進める」と話す。(安藤章司)
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