元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第35回 日本電子計算

2003/03/10 20:29

週刊BCN 2003年03月10日vol.981掲載

橋梁設計以外の新規事業を

 日本電子計算(JIP、小倉勝芳社長)は、本社の橋梁設計部門と、グループ会社の日本図形技術(蓬田輝雄社長)、日本構研情報(藤田耕治社長)を統合し、独立会社にする。

 社名は「JIPテクノサイエンス」とし、4月1日付で営業を始める。橋梁設計部門の年商は約50億円で、売上構成比は、橋梁設計が7割、住宅設計が3割。新会社は、これに新規事業の売り上げを加えて、2005年3月期に売上高60億円、営業利益率8%を見込む。

 橋梁設計とは、橋の構造解析をする設計サービスで、橋の強度や耐久性を解析する。一般的に、元請けのゼネコンが受注した金額の2-3%がその費用に充てられるという。

 橋梁の建設は、00年に全国で50兆円の予算が投じられていたが、公共投資の抑制により、20年には新規の橋梁建設が激減し、主に補修や架け替えが中心となり、年間20兆円の市場に縮小するとみられている。

 JIPテクノサイエンスの社長に就任するJIPの石賀幹春・取締役科学技術事業部長は、「橋梁市場が縮小するなか、工程別に複数の子会社で分担してきた作業を1つに統合し、効率化したうえで、橋以外の新規事業を立ち上げないと、将来的に立ち行かなくなる。営業からコンサルティング、設計まで一貫して受注できる体制をつくる」と話す。

 新会社は、JIP本体の橋梁設計部門から約200人が転籍し、日本構研情報の90人、日本図形技術の10人と合わせて300人体制にする。新会社は4月1日に発足するが、グループ会社2社は上期中に統合する。「初年度(04年3月期)に稼いだ利益はすべて新規事業に投資する」方針。

 新たに研究施設の「システム技研研究所」を京都に開設し、トップクラスの技術者10人を充てる。同研究所では、大学や独立行政法人などの研究機関との共同研究の窓口となり、産学協同の事業を促進する。

 新規事業は、こうした産学協同のビジネスのほかに、これまで橋梁設計を通じて取り引きがある約1000の企業・団体向けに、建設CALS対応や電子入札などの商談を進める。

 また、橋梁建築の活発化が見込まれる中国への進出も進める。石賀取締役は、「08年の北京オリンピックに向けて、橋梁の設計需要が増える」と予測。中国の橋梁設計会社との提携や、先方の技術者を受け入れるなどの具体策を打つ。これら新規事業の売上比率を、05年3月期には30%に増やす。(安藤章司)
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