.NETのエッセンス

<.NETのエッセンス>第13回(最終回) これからのシステム構築のために

2003/03/31 16:04

週刊BCN 2003年03月31日vol.984掲載

ビジネスのあり方が大きく変わる

 この連載も今回で最後。今まで書いてきたことをまとめてみよう。

 .NETそのもの。.NETには「XMLウェブサービスを利用した新しいコンピューティング環境」と「.NET フレームワークという新しい開発環境」の2つの意味がある。

●現在のXMLウェブサービスは、企業内のアプリケーションを柔軟に接続するためのインフラストラクチャとして有効である。そして、近い将来、XMLウェブサービスは企業を柔軟に接続するためのインフラストラクチャとなるだろう。

 XMLウェブサービスの普及は、ビジネスのあり方を大きく変える。よって、所属する業界のXMLウェブサービスに対する取り組みに深く注意を払い、業界動向によってはXMLウェブサービスを積極的に採用する必要がある。

 XMLウェブサービスは、クライアント・プログラムにも影響を与える。それがスマート・クライアントだ。XMLウェブサービスは広範囲に影響を及ぼすので、開発に携わる全ての人が習得しておかなければならない。

●.NET フレームワークは、Javaに良く似た生産性の高い開発環境である。実際、C#とJavaの文法はそっくりである。

 .NET フレームワークとJavaとの思想的な相違点は、実行効率を追い求めているところ(Javaが追い求めているのは美しさ)。利用面での違いは、.NET フレームワークはマルチ・ランゲージで、Javaはマルチ・プラットフォームであることだ。.NET フレームワークならCOBOLでXMLウェブサービスを開発することも可能なのである。

 また、インフラストラクチャの全てをマイクロソフト製品で揃えることが可能である点も、(メリットかデメリットかは別として)Javaとは異なる点として挙げられる。

●.NETになったからといって、全てを新しくしなければならないわけではない。

 .NET以前の既存資産を捨てる必要はない。ビズトークサーバー2002などの既存プロダクトは、.NET環境でも有効である。新しいサーバーOSであるウィンドウズサーバー2003には乗り換えるべきだが、その理由は実行効率であって新機能ではない。セキュリティのように、今までとかわらぬ苦労を強いられるものも存在する。

 最後にもう一言。ウィンドウズ上のシステム構築は、.NET フレームワークでやらざるを得ない。マイクロソフトがそう決めてしまったのだから。これからのシステム構築ではXMLウェブサービスに注目せざるを得ない。ビジネスのあり方が大きく変わる可能性があるのだから。

 だから、.NETについて少しでも興味をもっていただきたい。本連載が興味をもつきっかけになったなら幸いである。

日本ユニシス インテグレーションサービス部 .NETビジネスディベロップメント 尾島良司
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