WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第148回 不評のホワイトボックス戦略

2003/03/31 16:04

週刊BCN 2003年03月31日vol.984掲載

 デルコンピュータは2002年8月、米市場にデルブランドがなく、「ソリューション・プロバイダ・ダイレクト・プログラム」というブランドラベルが貼られ、これを取り扱うSIerが自社ブランドも併記できるホワイトボックス・パソコンを発売した。米国では、デルやヒューレット・パッカード(HP)など、有力ブランドとノンブランドがパソコン市場を2分している。ホワイトボックスは米市場では28%ものシェアを獲得したとの報告もある。

デルが徐々に改善へ

 HPでも、近々ホワイトボックスを投入すると噂されている。しかしデルはこれまで、ダイレクト販売でチャネルと敵対状態だったため、デルのノンブランド扱いを検討したいSIer比率は8%にとどまっている(米CRN)。この不評を解消するために、デルは次々と同戦略を改善し始めている。まず、インテルセレロン、ペンティアム4の2モデルの品揃えを増やすことを公表した。さらに、当ホワイトボックスは「デル製造品」であることを商談で公表してもよいとした。

 同社SMBマーケティング担当マーク・トンプソン取締役は戦略転換について、「わが社の顧客であるSIerの意見を当社戦略にフィードバックして、より良い戦略に改善していく。その第1弾がデル製を公表してよいことだ。SIerも徐々に自社でホワイトボックスを組み立てるより、デル製を採用する方が品質も安定し、保証もデルが行いコストが大幅に削減できることを実感し始めている」という。

 しかし、同社ホワイトボックスを取り扱うための契約書は複雑で、制約事項も多いと多くのSIerが不満をぶちまける。例えば当契約では、デル製ホワイトボックスを中央・地方政府機関や教育市場には販売できない。行政市場ではデルブランドが圧倒的シェアをもち、学校ではデルシェアがアップルをやっと上回ったばかりだからだ。「この市場制限は当面そのままだ」とトンプソン取締役は補足する。デルの当製品を扱うSIer、AMSTのジーン・マルティーノ社長は「デル製だと顧客に説明するだけで、顧客は品質や後の保守問題を口にしなくなった。これで他のSIerの自家製ホワイトボックスの競合を簡単に排除できるようになり、有利に商談を進められる。競合排除がビジネス上最も重要である」とデル契約の制約が徐々に緩められることを歓迎する。

 しかし、デルはデスクトップが期待したほどに立ち上がっていないことを理由に、同社マイケル・デル会長が02年に公表したホワイトボックス・サーバーの発売は延期するようだ。デル会長は03年に入ると「デルの当サーバーが生産段階になっている」との報道を肯定しないようになったからだ。デルはまずデスクトップの立ち上がりに注力するようだ。だが、デルのトンプソン取締役は、「デルがホワイトボックス戦略を縮小することはあり得ない。デルはマーケット状況を最も熟知する立場にあり、市場変化に応じてホワイトボックス戦略を徐々に強化する」と付け加える。(中野英嗣●文)
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