“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>3.NEC東芝情報システム

2003/04/21 20:43

週刊BCN 2003年04月21日vol.987掲載

 NEC東芝情報システム(井上武彦社長)は、J2EE(Javaの開発プラットフォーム)ベースのシステム開発を急ぐ。同社はNECのメインフレーム「エーコスシリーズ」の共同開発を目的としてNECと東芝の共同出資で設立した会社だ。たが、メインフレーム市場が縮小した影響もあり、最盛期の1992年が売上高350億円で社員500人だったのに対し、今は年商約200億円、社員350人に規模が縮小した。

J2EEのシステム開発急ぐ

 これを打開する施策として、J2EEをベースにした業務システムの開発に比重を傾ける。すでに、日本BEAシステムズのJavaアプリケーションサーバー「ウェブロジック」を標準プラットフォームに決め、独自の業務アプリケーション開発基盤「オルテウス」も開発した。

 メインフレームから世界最先端のJ2EEへの移行だ。これまでも、段階的にオープン化を進めてきたため、すでに年商の半分強はオープン系システムが占めるまでになった。とくに「2000年問題」をきっかけに、メインフレームからオープン系への移行が急速に進んだ。「現在、純粋なメインフレームのハードウェアの売上高は、全体の1割にすぎない」(蓮川洋一・常務取締役)と話す。

 同社では、(1)サーバーやパソコン端末、ネットワークサービスなど、電気や水道、道路と同じ“あってあたりまえ”の社会基盤となった。存在することが当たり前の商材で収益をあげるのは至難の業である、(2)ならば、このインフラ上で動く、自由度の高い次世代の業務システムを開発するべき、(3)サーバー環境を選ばないJavaで開発したウェブベースの業務システムが、今後の主流になる――と判断した。

 蓮川常務は、「ウェブロジックを基盤として、各業務アプリケーションのコンポーネント化を進める。今後、たとえば地場のシステム販社やコンサルティング会社などがもつ同様のJavaコンポーネントと組み合わせて、全方位で顧客の需要を満たすシステムを組み上げることも視野に入れる」と、Javaベースでの相互補完や業務提携に意欲を示す。

 J2EEのアプリケーションサーバー「ウェブロジック」を切り口とした業務システムの売上構成比は、昨年度(03年3月期)、ようやく1割に達したばかりだ。今年度(04年3月期)は全体の2割までに高める。リナックスの普及やJavaシステムに対する需要の高まりで、この比率はさらに高くなる見込み。(安藤章司)
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