情報モラルとセキュリティ

<情報モラルとセキュリティ>8.クオリティの活動 その1

2003/06/02 16:18

週刊BCN 2003年06月02日vol.992掲載

 ACCSの会員でもあり、設立当初からソフトウェア管理ツールを開発・販売し、現在では情報管理の観点から各種システムやツールを提供する企業、クオリティの活動を紹介する。ソフト管理、情報管理を行うことが、セキュリティにつながるという側面は当然誰にでも理解できることだが、同社は「セキュリティ」という概念があまりにも広く、曖昧なため、ユーザーに自社のシステムやソフトの特徴を理解してもらう難しさを危惧していた。(コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS) 専務理事 久保田裕)

 そこで、ライセンス管理、ソフト管理、情報管理がなぜ必要か、という観点からアプローチする「情報モラル」というキーワードに着目したという。同社の情報ドキュメント管理システム「Key Server」や、IT資産管理ツール「QND Plus」などはよく知られているが、これらのシステム開発を行うと同時に、その商品の狙いをユーザーに理解してもらうため、「情報モラルの確立」をテーマにした企業セミナーや勉強会などを積極開催してきた。こういう活動を行っている企業は少ない。

 先日、クオリティがこのような活動を行うに至った経緯などについて、飯島邦夫・マーケティング本部長に話を聞いた。

 まずは、同社が主催する「PCネットワークの管理・活用を考える会」について。この会は、「クライアント/サーバー環境におけるパソコン管理の課題について、ソリューションや事例紹介などを通し、ユーザーの立場から研究」を行う組織で、私も何度か講師として招かれたことがある。当初は違法コピー、違法送信のリスクについて話すことが多かったが、最近ではライセンス管理をきちんと行うと、IT資産の効率的活用が可能となり、さらにセキュリティの点からもユーザーの情報センスが高まる、というポジティブな発想で論を進めている。

 この「ユーザー組織」は、同社の製品ユーザーでなくても、会の目的に賛同する法人なら誰でも参加できる。この会を主催する目的は2つあり、1つは現場のニーズを知ること。企業のネットワーク、パソコン等利用環境では何が問題になっているのか、どういう解決策が必要なのかを知るためだ。これは直接、製品開発のヒントになるそうだ。

 ユーザーの声を聞くことが、企業にとって重要であることは言うまでもないが、同社が「考える会」をつくった理由のもう1つは“シーズ”を“ニーズ”に結びつけることだ。「現場のニーズを知ることも重要だが、それだけではなく、ニーズを形にする、ニーズを掘り起こす場としても位置づけている」と飯島本部長はいう。シーズ、つまり「種」はいくらでもあるが、なかなかそれがニーズにつながらない。たとえば、企業内違法コピーの問題。この問題をシーズとして管理ツールをつくっても、企業の側が「違法コピー問題を解決したい」と考えなければ需要がない。そこで、違法コピーの問題性やリスクを訴える場が必要になるわけだ。
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