前回は、クライアントサーバーシステムによる営業管理システムを事例に、パッケージソフトに焦点を当て、ソフトウェアのリースの収支評価を説明した。今回は、同じ事例をもとに、買い取りの場合を評価し、リース契約との損得を比較する。(日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA) 税務委員会委員長 税理士 根岸邦彦(監修))

 ソフトの合計取得価額は1480万円。ソフトの減価償却は、定額法で耐用年数5年なので、毎年296万円の均等償却を行う。法人税等の税率を40%と仮定すると、毎年118万4000円の「税効果」がある。5年間のこの税効果の「正味現在価値」は、割引率を2%とすると、約558万1000円となる。買い取りの場合、取得価額の50%の特別償却か、初年度10%の税額控除かを選択できる。

 特別償却を選択すると、その分、1期目の期末簿価が減少し、3年で償却が終わってしまう。この正味現在価値は約575万8000円で、差額の約17万7000円が減税の価値となる。税額控除は、第2年度に税務申告した時に発生するとしよう。法人税の20%までという限度額などは考えないことにして比較する。控除額は148万円であるから、これを1.02で割ったものが現在価値であり、約145万円が「税効果」である。

 税額控除の場合の税効果は、「普通償却の税効果+145万円」となるので、正確には約706万円が現在価値となる。従って特別償却の税効果より、約130万円多い。投資利回りは8.8%で、10%税額控除に近い数字になる。

 このように、特別償却は全体として償却額が増えるのではなく、単純に減価償却の時期を前倒しするのに対して、税額控除は普通償却と別枠で減税が行われるので、低金利の時代には一般に税額控除が有利となる。

 これで、ソフト投資額1480万円の3つの減税効果方式の数字が揃った。(1)リース(前回)の税効果=758万5171円、(2)特別償却の税効果=575万8624円、(3)税額控除の税効果=706万736円。

 「税効果」という意味ではこれで正解であるが、会社経営の見地からはまだ「同じ土俵にのった」とはいえない。「資金調達コスト」という目に見えない要素が違っているからである。

 リースの場合は、資金調達は不要だが、リース会社に高利を払わねばならない。一方、購入の場合には資金を調達しなければならず、自己資金でも借入でも資金コストが発生する。従って、上記の比較には資金コストの違いの損失を織り込まねばならない。

 資金コストの算定には、「実際は自己資金による購入でも、お金を借りて買った」と仮定すると、借入返済と金利支払いが発生する。金利は税法では損金になるので税効果がここでも発生する。「リースか購入か」の比較には、こうしてキャッシュフローの差額を計算するのが簡単である。リースの場合の評価を修正してみよう。

 1480万円をまず、年利3%で5年の均等年払いで借りたとすると、毎年の返済額は323万円になる。毎年のリース料は348万円なので、この差額をリースの税効果年額139万円から差し引いたものを「借入控除後リース税効果」と考えよう。金利相当の超過支払額を「税務署から返してもらう」と考えるわけである。あまり細かいことを言ってもきりがないし、「どれが有利か」の順序が分かればよいからである。

 すると、毎年のリース税効果額は114万円に低下し、この5年間の正味現在価値は約539万円になる。これにリース税額控除の現在価値102万円をプラスしたものが、正確なリースの税効果額となる。となると、正確には641万3473円となる。

 従って、「購入+税額控除」、「リース税額控除」、「購入+特別償却」の順で減税方式の損得が並ぶということになる。