中国ソフト産業のいま

<中国ソフト産業のいま>21.地方企業こそ中国進出を

2003/06/02 20:43

週刊BCN 2003年06月02日vol.992掲載

 今号は地方のソフト会社に焦点をあてたい。中国に飛び出すことで事業を拡大している企業である。日本の地方の不況感は強い。民間のIT需要が乏しく、公共の情報投資がなんとか下支えしている状態だ。「地方ではソフト開発の単価が人月40万円を切っている」(業界関係者)との話もある。そうしたなかで、自社パッケージを抱えて中国に乗り込んだ企業がある。高知市を本拠とするSSRである。(坂口正憲)

同社は昨年夏、中国・瀋陽に現地法人「瀋陽朝日計算機工程有限公司」を設立した。もともと中国のソフト会社へ開発を委託してきた実績があり、中国で人材の厚さと潜在市場の大きさを感じていた。

 当面、現地法人は日系企業からの受託開発を中心に事業を進めるが、その一方で、自社パッケージ「トリプルAシステム」の市場開拓を目指している。同製品は、ウェブ上で自然言語の質問を入力すると、文章を解析処理し、対応する解答をデータベースから検索するシステムだ。地元の高知工科大学と共同開発したもので、大手化粧品メーカーの営業支援システムで採用された。SSRは現在、中国のソフト会社と組んで同製品の中国語版を開発しており、今後は中国市場へ売り込みを掛けていく計画だ。ウェブとデータベースという世界に通用する標準技術を武器に、巨大な潜在市場に挑戦する。

 従来、地方のソフト会社にとっては、東京進出こそがビジネスを拡大する唯一の選択肢だった。それが今や、中国進出という選択肢も出てきている。特殊会計ソフトの開発販売を手掛ける佐賀市のサイエンスビジネスも2002年春、大連ソフトパークに事務所を開設。10人を超える技術者を擁し、現地でのソフト開発を本格化させた。地方のソフト会社は常に人材確保に苦労してきた。日本では、エンジニアが給与条件の良い大都市圏に集中し、地方では人が集めにくい。その点で中国は人材の宝庫。日本企業で働きたがる若手エンジニアはひきを切らない。人件費も日本の3分の1、4分の1である。ハンディの多い地方のソフト会社こそ、戦略的に中国と関わっていくべきではないか。
  • 1