“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>10.SRA関西支社

2003/06/23 20:43

週刊BCN 2003年06月23日vol.995掲載

 SRA関西支社(深海善彰支社長)は、システム構築案件の拡大と、海外ソフトウェア開発の比率を高める施策を打ち出す。SRA(鹿島亨社長)は全社戦略としてオフショア開発(インドなど海外でのソフトウェア開発)、SAPやスーパーストリーム(エス・エス・ジェイ)などERP(基幹業務システム)パッケージの販売に力を入れる方針を打ち出しており、関西支社でも、これら新施策の実践に向けて体制を整える。

海外でソフト開発へ

 SRA関西支社は、1997年頃からスーパーストリームなどERPパッケージの取り扱いを始めた。それ以前はソフトウェアの受託開発が売り上げの大半を占めた。だが、ここ数年関西経済の落ち込みが大きく、受託開発だけでは厳しいと判断。営業力を強化し、システム構築案件の開拓に力を入れてきた。この結果、昨年度(03年3月期)では全売上高に占めるソフト開発が6割まで下がり、システム構築が3割、保守サービスが1割まで拡大した。

 今後の重点課題は、ソフト開発のコスト削減とERPなどシステム構築案件の新規獲得である。

 同社は、インドのバンガロールにある海外子会社でのソフト開発に力を入れており、昨年度下期は全社で約100人月分を発注した。今年度(04年3月期)は、通年で500人月分を発注する計画を打ち出す。

 深海支社長は、「関西支社で売り上げの6割を占めるソフト開発のコスト削減の切り札としてオフショア開発を推進する。実際はオフショア開発したソフトを関西支社で再度品質管理するなどの作業が発生するものの、それでも開発コストを数分の1に抑えられる」と話す。

 「同じ品質で競合他社より1割でも安ければ、有利に商談を進められる。オフショアに加えて、Linuxなどのオープンソースを取り入れれば、さらに価格競争力を高められる。関西の企業は首都圏よりも価格に敏感で、これに業種ノウハウなどの強みの部分を織り込めば、営業力は大幅に強まる」と話す。

 SRAでは、米国のプログラマーの平均月給が5000ドルだとすると、日本は4700ドル、インドは500ドルだと試算する。

 鹿島社長は、「単純に計算して、1000万円のソフト開発案件を国内に発注するのとインドに発注するのとでは、およそ10倍近く差がある」と話す。同社はインドだけでなく、中国・大連にも同様のソフト開発拠点の整備を進める。(安藤章司)
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