WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第162回 市場細分化の方向へ

2003/07/21 16:04

週刊BCN 2003年07月21日vol.999掲載

 2003年以降マイクロソフトの主力戦略は、世界のSMB(スモール・ミッド・ビジネス、中小企業)開拓であることを、同社のスティーブ・バルマーCEOは社内、パートナーに対して繰り返して述べている。バルマーCEOは買収したソフト会社、グレートプレーンズが開発したSMB向け業務アプリケーションをベースとした、マイクロソフト名を冠した「MS-CRM」に続いて、「MS-ERP」「MS-SCM」などを次々に投入することも公表した。

マイクロソフトのSMB戦略

 さらにバルマーCEOは、このような業務パッケージはあくまでSMB向けソフトであり、これでSAP、シーベル、オラクルなどエンタープライズ向けソフトと競合してはならないことも、再三社内で警告している。マイクロソフトはこれまでの量販指向のデスクトップOS、プロダクティビティアプリケーション・ベンダーから脱却して、「企業システム価値の最大化」を実現するソフトベンダーへ転換することを狙っている。世界的にパソコン市場は低迷し、デスクトップソフト価格へのデフレ圧力も強くなっているからだ。

 マイクロソフトは01年以降、SMB向け、ISV(独立ソフトベンダー)買収や市場開拓のチャンネル調整に23億ドル(2700億円)を投入してきた。この巨額投資利益を、03年以降収穫しなければならないことも、ベルマーCEOはウォールストリート機関投資家に説明してきた。これまでマイクロソフトのデスクトップソフトを販売してきた同社パートナー企業は、商品価格低下もあって、ほとんどがシステム開発などを手掛けるソリューション・プロバイダへ転換し始めている。

 さらにマイクロソフトにはグレートプレーンズなどのチャンネルだった「マイクロソフトビジネスソリューションズ(MBS)パートナー」と、伝統的マイクロソフトチャンネルである「マイクロソフト・リセーラ」という2系統パートナーがあり、これを効率良く融合することが、同社SMB戦略にとって重要であることを認識している。この両系統を兼ねるパートナーは全世界で6000社あり、このチャンネル網の効率的融合で世界SMBカバーを効率良く実行しなければならない」と、同社マネージドパートナーストラテジーのドン・ネルソンGMは語る。

 この市場カバーを効率的に行うため、マイクロソフトは世界SMBを5区分する作業を開始した。この区分の基準は多くあるが、主要項目はパソコン保有台数・従業員数・年間ソフト購入予算である。SMBの5区分は上位のアッパーミッドマーケットから下位のロアースモールビジネスなどと名付けられている。SMB中核市場の区分「コアミッドマーケット」の分類基準は、パソコン保有50-250台、従業員100-500人、年ソフト購入予算は10-30万ドル(1200-3600万円)である。マイクロソフトは各国別に各ランクのSMBがそれぞれ何社あり、このカバーにどんな資質のチャンネルが何社必要なのかの分析にとりかかった。(中野英嗣●文)
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