多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>1.プロローグ

2003/08/04 16:18

週刊BCN 2003年08月04日vol.1001掲載

 IT投資が冷え込むなか、依然右肩上がりの成長を続けているのが情報セキュリティ市場だ。調査会社、富士キメラ総研の予測によると、2005年度の情報セキュリティ関連製品・サービス市場は、6476億円規模にまで成長する。01年度実績の2176億円に比べおよそ3倍に大幅拡大するとの予測だ。

情報保護への関心高まる

■05年度に市場規模6000億円を突破

 これまでのセキュリティビジネスは、ウイルス対策やファイアウォール構築など、外部からの攻撃に対抗するための製品・サービスがマーケットの中心になっていた。

 しかし、最近ではその状況は一変しており、製品やサービスは多種多様化し、市場のカテゴリーは拡大している。

 より堅牢なセキュリティシステムを求める企業・団体が増えており、これによりセキュリティビジネスの中心であるサイバー攻撃からシステムを守るための製品・サービスの種類が増加。さらに、セキュリティポリシーの策定や日常的なセキュリティシステムの運用・監視などといった総合的なセキュリティ製品・サービスのニーズも拡大してきた。

 また、セキュリティマネジメントに関する日本独自の第3者認証制度「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度」が本格運用を開始し、個人情報保護法の成立で企業・団体のセキュリティに対する意識が向上していることも要因に挙げられる。

 警察庁が今年1-2月に、全国の企業、教育関連、行政サービス機関を対象に行った調査によると、情報セキュリティの必要性を「非常に感じている」とした回答は64.9%で、「ある程度感じている」を含めると95.3%にも上る。

 一方で、製品・サービスの多種多様化と参入企業の増加によって、市場構造は複雑化してきている。ユーザーにとっては、最適なセキュリティシステムを導入したくても、多様化した製品・サービスの中で何が一番良いのか、その判断が難しいという面も出ている。

 拡大とともに複雑化する市場で、セキュリティビジネスを手がけるベンダーやシステムインテグレータが、どのようなビジネスを展開しているのか。次回以降、ベンダーやシステムインテグレータのセキュリティビジネスの“現在”を明らかにするとともに、各社の製品・サービス戦略の将来に向けた展開を追っていく。(木村剛士)
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