“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>20.福井システムズ

2003/09/08 16:18

週刊BCN 2003年09月08日vol.1005掲載

 福井システムズ(宮脇一郎社長)は、主力の自治体向け基幹業務システムをJavaにつくりかえる。今後3年間で約3億円を投資する。これまでは、ウィンドウズおよび富士通のメインフレーム上で稼働していたが、これをJavaにつくりかえ、Linux上でも動くようにする。

主力アプリをJavaに

 同社は年商27億円(2003年3月期)のシステムインテグレータ。売上高の約9割を自治体関連で占める。自治体向け売上高の約7割が福井県内で、残り3割が県外。同社では、県内自治体への依存度が高いとして、ここ2-3年で県外における売上高を全体の半分にまで高める。

 具体的な施策として推し進めるのが、主力の自治体向け基幹システムをJavaで書き換えるという刷新策である。メインフレームやウィンドウズだけでなく、Linuxなど、今後シェア拡大が見込まれる基本ソフト(OS)に対応することで、商談を有利に進める考え。

 1966年の創業時から、自治体向けシステム開発を手がけており、住民基本台帳、税金、福祉、文書管理など、ほぼすべての基幹システムを自社で開発し、「ナイス21」の名称でパッケージ化している。昨年11月には、これら基幹システムのウェブ対応を完了し、「新ナイス21」として売り出した。

 折しも、自治体合併の時期で、基幹システムの統合が進んでいる。福井県の35市町村のうち、福井システムズ(富士通など同業他社との協業も含む)が情報システムを請け負う数は32市町村に達する。また、県内35市町村のうち21町村が合併を協議しており、合併による新たなシステム統合需要が見込まれる。

 当面は、このシステム統合需要に支えられて収益を確保する。とはいえ、統合段階では、万が一にもシステム不具合が発生しないよう、多くの自治体は既存システムを極力無難に統合しようとする傾向が強いという。実際に新規システムへの投資が本格化するのは「合併後になるケースが多い」(白崎俊雄・取締役営業部長)と予測する。

 開発中のJava版のナイス21(仮称)は、合併が一段落し、新しい市町村にふさわしいシステムに刷新しようという需要が出てきたときに売り込む。Java版ナイス21が完成するタイミングが「全国的に基幹システムの刷新需要がピークを迎えるとき」(同)という狙いだ。同時に、これを足がかりにして、一気に県外顧客の開拓を進める。(安藤章司)
  • 1